モノ作りから知恵作りへ転換
知財に注目が集まった2002年

日経エレクトロニクス表紙

 政治,経済,スポーツいずれも激動の年だった。政治では小泉首相が訪朝し,金正日総書記が拉致問題を公式に認めたのは記憶に新しい。経済では,世界の基軸通貨を目指し,EU圏内における統一通貨「ユーロ」の運用が始まった。そしてスポーツでは日韓ワールドカップが開催され,日本中が試合結果に一喜一憂した。

 エレクトロニクス分野では,知的財産に注目が集まった。日本の産業の競争力低下を食い止めるため,「知的財産戦略大綱」が発表された。知財を創造する仕組みを整え,生み出した知財を保護・活用することで新たな知財を創出するという正の循環をつくり出すことを狙った。こうした状況の中でエレクトロニクス業界を揺さぶった二つの事件が「富士通HDD不具合問題」と「JPEG特許問題」だった。富士通HDD不具合問題は,パッケージの封止材に使用する赤リンがLSIの端子を短絡する要因となって起きた問題だった。原因の特定が難しく関係するメーカーが多岐にわたったため,業界の関心は高かった。JPEG特許問題とともに,この年に最も読まれた記事,読者の評価が高かった記事の上位にランクインした。

2002年に読まれた記事 BEST 3
  1. PDPテレビが急伸,出荷額は大型CRTに並ぶ(8月26日号)
  2. 富士通HDD問題は,なぜ起きたのか(10月21日号)
  3. 波紋広がるJPEG特許問題,まずは米国デジカメ市場(8月12日号)
2002年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. 富士通HDD問題は,なぜ起きたのか(10月21日号)
  2. JPEG特許でアレも売れない,コレも売れない(9月23日号)
  3. 知財力で立つ(8月12日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

―― 【次回】2003年:iPodとiTMS ――