問われるハードウエアの設計力
技術力低下の兆しが現る

日経エレクトロニクス表紙

 デジタル・カメラの販売台数が100万台を超え,本格的に市場が立ち上がり始めたこの年,本誌は「ハードウエアの設計力が危ない」と題する特集記事を掲載し,話題を集めた。当時のエレクトロニクス業界では機器の高速化や複合化,複雑化,小型化が急速に進んでおり,機器を作るために必要な設計力が高まりつつあった。その一方で,アナログ技術やEMI対策にセンスのある人材が減り,技術力が低下する問題に直面していた。この問題に対して本誌は,ノウハウの共有体制の構築や開発部門の集中など,組織的な対策が必要になると提言した。

 2月24日号では緊急レポートとして,米Intel社がPentiumプロセサと周辺LSI,電源回路などを搭載するノート・パソコン向けのCPUモジュールを発売するニュースを報じた。当時はプロセサの高性能化が進行し,誰もが高性能なノート・パソコンを開発できるわけではなかった。Intel社のモジュールを使えば,台湾のパソコン・メーカーといった新興勢でも高性能のノート・パソコンを短期間で設計できるようになる可能性があり,業界の耳目を集めた格好だ。

1997年に読まれた記事 BEST 3
  1. 米Intel,ノート・パソコン向けにCPUモジュールを発売(2月24日号)
  2. Pentium IIの出荷始まる,266MHz版の価格は775米ドル(5月19日号)
  3. ハードウエアの設計力が危ない(1月27日号)
1997年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. ハードウエアの設計力が危ない(1月27日号)
  2. 離陸体制整うIEEE1394(9月8日号)
  3. パソコン・アーキテクチャに革命の予兆,デバイス・ベイ現れる(6月30日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

―― 【次回】1998年:Google社誕生 ――