【電子産業史】1996年:DVDの開発
寸前で分裂を回避,その教訓は生きたのか
1996年にDVDプレーヤーが発売された。
DVDの市場デビューからちょうど10年目の2006年。今,まさにDVDは黄金期を迎えている。記録型DVD媒体の世界需要は対前年比で40%以上も増え,約60億枚/年に達する見込みだ。記録型媒体でずっとトップの座を守ってきたCD-Rの需要を,早ければ2007年にも抜く。もちろん映画などのパッケージ媒体でも,既にDVDの販売数はVTRカセットの最盛時をはるかにしのいでいる(図1)。
しかしあらためて10数年前の誕生期を思い返すと「よくここまで」と思えるほどDVDは難産であった。
DVDの開発が本格化したのは1990年代に入ってすぐのことである。そのころMPEG-2の規格が固まり,映画1本のデータ量を3G〜5Gバイトに圧縮するメドが立った。これを光ディスクの片面に収めるために必要な記録密度向上(目標はCDの6〜8倍)技術も手駒に入り始め,実用化機運が一気に盛り上がった。
記録密度を上げるには,データの読み書きに使うレーザ光を対物レンズでなるべく小さく絞ればよい。主に二つの方法がある。光源の短波長化と,対物レンズの開口数(NA,どのくらい急角度で光束を絞り込むかを示す値)の増大である。光源の短波長化では業界が一致した。CDが使う波長約780nmの近赤外レーザを,650nm前後の赤色レーザに置き換えるというものだ。ところが対物レンズのNAで意見が分かれた。CDで0.45だったNAを,0.52にしてディスク片面容量を3.7Gバイトにするか,0.6に高めて5Gバイトを狙うかで業界は真っ二つになった。
1994年12月にソニーやオランダRoyal Philips Electronics社らが「MMCD」規格を発表(NAは0.52)。間髪入れず1995年1月に東芝や松下電器産業など7社が「SD」規格を提唱した(同0.6)。NAが0.52ならCDと同じディスク構造で大丈夫。その代わり,記録容量はさほど上がらない。一方,NAを0.6に上げれば容量は一気に増える。しかし新製法の導入が必要でコストの増大が心配された。
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