バブル崩壊に苦しむ
ネット時代の胎動も

 前年にバブル崩壊が明白になり,急激に不況に突入――。1993年の本誌は,こうした世情を反映して「不況下の研究開発 何を切り,何を残すか」という新春特集で始まった。この記事は,この年最も読まれた記事で3位,評価が高かった記事としても3位と読者の関心が高かった。読者に読まれた記事の1位と2位は,いずれもNECの低価格パソコンに関するもの。かつて国内市場で無敵を誇ったNECのパソコン「PC-9800シリーズ」が,米Compaq Computer社や米IBM社のDOS/V機が急増する中,低価格路線へ転換せざるを得なくなったことをレポートした記事だった。政治の世界も,8月に細川護熙氏の内閣が発足して,自由民主党の一党支配がついに崩れるなどいろいろな点で転換期だった。

 現在普及している幾つかの重要技術も登場した。例えば,インターネットの存在が社会的に知られ始めた。WWWブラウザー「Mosaic」が公開されたのもこの年である。また,日亜化学工業は光度1cd,光出力1.2mW,波長450nmの青色LEDを開発した。本誌は12月20日号で報じている。

1993年に読まれた記事 BEST 3
  1. 21万円台の486パソコンをNECが発売,不振の打開ねらう(2月1日号)
  2. 98陣営が20万円台のi486搭載パソコンを投入(2月15日号)
  3. 不況下の研究開発 何を切り,何を残すか(1月4日号)
1993年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. 読者と考える成熟期のヒット商品,使いやすさとわかりやすさが鍵(1月18日号)
  2. インテルの研究 Pentiumとその後を探る(3月29日号)
  3. 不況下の研究開発 何を切り,何を残すか(1月4日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

―― 【次回】1994年:通信ネットワークのマルチメディア化 ――