強い特許の取得に向け
迫られる意識改革

日経エレクトロニクス表紙

 バブル崩壊によって日本経済がガタガタと音を立てて崩れ始めた1992年,日経平均株価が2万円を切り,有効求人倍率が1.0を下回るなど,後に「失われた10年」と称される不景気に日本は突入していく。

 この年に最も読者に読まれた記事は,NECが発売したA4判のノート・パソコンを取り上げた記事だった。6本のアルカリ乾電池を使えば,最長で約8.4時間の動作が可能である。最大16MHz動作と,現在の機種とは大きく異なるものの,動作時間だけを見れば現在のノート・パソコンとさほど変わらない。最も評価が高かった記事は,強い特許の出し方や書き方のコツを探った特集記事「有効な特許」である。1991年に日本の特許出願件数は欧米の4倍に達し,審査の遅れが深刻化していた。出願するが積極的に特許権を取らない「防衛特許」や,駄目でもともとの「駄目もと出願」が出願件数の多さの背景にあったことから,出願を厳選して審査期間を短縮し,「有効な特許」や「強い特許」の取得への脱皮が課題だった。特集ではベテラン技術者に優れた発明の秘訣を聴くとともに,強い特許に向けた明細書の書き方を解説した。

1992年に読まれた記事 BEST 3
  1. 1.3kgのA4判ノート・パソコンを日電が発売,電池動作は8.4時間(3月2日号)
  2. ソニーのカメラ一体型VTR,再生や充電の煩雑さを解消し,飽和市場の打開をねらう(10月26日号)
  3. ハイビジョン放送対応テレビ,簡易型が刺激,咲きはやる横長画面(4月13日号)
1992年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. 有効な特許(8月31日号)
  2. 外部記憶装置に新風,,フラッシュ・メモリが1.8インチHDDに挑む(2月17日号)
  3. ハイビジョン放送対応テレビ,簡易型が刺激,咲きはやる横長画面(4月13日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

―― 【次回】1993年:青色LEDの発明 ――