1990年代に向けて
「家庭の情報化」を占う

日経エレクトロニクス表紙

 ソニーがパスポート・サイズのビデオ・カメラ「CCD-TR55」を発売し,昭和から平成へと年号が変わった1989年。最も注目を集めたのは,1990年代に起こる「家庭の情報化」を予測した12月25日号の特集記事だった。「10年後のリビング・ルーム」と題したイラストには,50型はあろうかという大画面の薄型テレビに映し出されたメニューを見ながら,旅行プランを練る家族が描かれていた。当時,家庭の内と外を結ぶネットワークとして想定したのはインターネットではなく,広域ISDNだった。同じ号には「出荷間近のi486パソコン」という記事もあった。拡張用32ビット・バスとして,米IBM社の「Micro Channel Architecture」とISAの後継である「EISA」が業界標準の座を争っていた。結局,この市場は,その後登場したPCIバスが席巻することとなった。

 この年に読者の評価が高かった記事の3位だった電池の特集は,携帯するエレクトロニクス機器が増えるに従い拡大する電池市場の予測と,多様化による使いこなしの難しさについて分析したもの。当時はまだ研究段階だったLiイオン2次電池の将来性を重視していた。

1989年に読まれた記事 BEST 3
  1. 家庭の情報化:21世紀に向け,ゆるやかに進行(12月25日号)
  2. 日本電気がPC-9801,カラー・ラップトップ機を発売(8月7日号)
  3. ソフト化時代の知的所有権(2月6日号)
1989年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. 家庭の情報化:21世紀に向けゆるやかに進行(12月25日号)
  2. ソフト化時代の知的所有権(2月6日号)
  3. 電池:電子機器の“重たい”課題(3月20日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

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