発展期のパソコン市場の動向に関心集まる

日経エレクトロニクス表紙

 言論の自由に対する前代未聞の暴力行為。朝日新聞阪神支局に猟銃を持った男が侵入し,記者二名を死傷させた,いわゆる「赤報隊事件」は,バブル経済に沸く日本に突然暗い影を落とした。

 この年,読者に最もよく読まれた記事は4月6日号の「セイコーエプソンがPC-9801互換機を発売」である。当時国内のパソコン市場で圧倒的なシェアを誇ったNECに対し,セイコーエプソンが互換機の投入を発表。NEC側は互換機のBIOSに著作権侵害があるため法的手段に訴えると警告して,大きな話題を呼んだ。2番目に読まれたのは,国内メーカー7社が一斉に発売したDAT(デジタル・オーディオ・テープレコーダー)に関する記事。DATの著作権問題やコピー防止策などをまとめた。最も読者の評価が高かったのは,7月27日号の「実用期に入ったファジィ理論」。地下鉄の運転制御などでのファジィ理論の実用例や技術開発に焦点を当てた。パソコン・メーカー各社の戦略をつづった,3月9日号の「年10%の市場成長のなかで各社が生き残りをかける日本のパーソナル・コンピュータ市場」も読者から高い評価を受けた。

1987年に読まれた記事 BEST 3
  1. セイコーエプソンがPC-9801互換機を発売(4月6日号)
  2. DAT,各社から第1世代機一斉発売(4月6日号)
  3. 主要研究所長に今年の方針を聞く(1月12日号)
1987年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. 実用期に入ったファジィ理論(7月27日号)
  2. 年10%の市場成長のなかで各社が生き残りをかける,日本のパーソナル・コンピュータ市場(3月9日号)
  3. 世界の1987年電子市場を展望する(3月23日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

―― 【次回】1988年:TRON ――