年初号でエレクトロニクス分野の10年先を総覧

日経エレクトロニクス表紙

 この年に旧ソ連でモスクワ五輪が開催された。冷戦下のイデオロギー対立から米国や英国,日本をはじめとする西側諸国が軒並み参加を見送った五輪として歴史に名を残した。

 本誌は1980年代の始まりの年であることを意識し,1月7日号で130ページもの誌面を割いて,「1980年代のエレクトロニクス」と題する特集記事を掲載した。この特集記事は,電子デバイスから回路,マイクロプロセサ,コンピュータ,計測・制御,通信と広範囲にわたる今後の技術動向および産業動向について分析した。この年最も読まれた記事の上位はすべて1月7日号に掲載したもので,1~3位の順に「技術速報」と「総論」,「マイクロプロセサ」だった。2位と3位が特集の一部だった記事である。

 最も読者の評価が高かった記事は9月29日号の解説「実用期を迎えるゲスト・ホスト型カラー液晶ディスプレイ」。従来のカラーTN液晶に比べて,視野角や明るさなどで優れていることから注目を集めた。国内だけで10社以上が競った。

1980年に読まれた記事 BEST 3
  1. 技術速報(1月7日号)
  2. 総論 情報処理分野の自立,他産業への浸透,知的領域への進出が80年代の特徴(1月7日号)
  3. マイクロプロセサ 汎用製品が高性能化する,一方で専用チップの開発も進む(1月7日号)
1980年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. 実用期を迎えるゲスト・ホスト型カラー液晶ディスプレイ(9月29日号)
  2. コンピュータ・ハードとソフトの距離を縮める高級言語マシン(8月4日号)
  3. 米国,西欧の1980年電子市場を展望する(3月31日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

―― 【次回】1981年:光ファイバ通信 ――