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日経エレが目撃した電子産業・歴史の現場

【電子産業史】1976年:ベータ対VHS

基本録画時間の違いが明暗を分ける

  • 2008/08/11 09:00
  • 1/3ページ

1976年,日本ビクターがVHS方式の家庭用VTRを発売。

 ベータとVHSの規格争い――この歴史に残る攻防の明暗を分けたのは,突き詰めれば両者が基本設計で採用したカセットの録再時間の違いである。

 ソニーがベータ規格の家庭用VTRを発売したのは1975年5月。これはガードバンドレス記録で,高密度記録・カセットの小型化を実現した画期的な機種だった。その1年数カ月後に日本ビクターが同様なガードバンドレス記録のVHS規格製品を出したことで,規格争いになった。前者のカセット・テープの録画再生基本仕様が1時間,後者が2時間だったが,VHS登場に対抗してソニーが2時間の規格を出したことが問題を複雑にした。


図1 ベータ,VHS登場時までの家庭用VTRの記録密度の推移 記録密度は1時間当たりのテープ所要面積で表した。図は本誌1977年7月11日号から。

 ベータとVHSは既存の家庭用VTRと比べて一歩抜き出た高密度記録を達成していた。記録密度を,1時間録画するのに必要なテープ面積で表すと,ベータの基本仕様は1.83m2,VHSは1.52m2。これに対して1時代前の機種である「Uマチック」は6.5m2,同時代に出た東芝・三洋電機の「Vコード」で3.38m2,α巻きの松下電器産業の「VX-2000」は2.38m2であった(図1)。

 両者がこれだけの高密度を実現できたのは,従来方式では隣のトラックとの間に設けるガードバンドをなくしたからである。こうすると,再生時にヘッドがトラックからわずかに外れただけで,隣のトラックの情報を雑音として拾ってしまう。その雑音を除くために,両者とも傾斜アジマス記録方式と,新たな色信号処理方式を採用した。

 傾斜アジマス記録方式は,ヘッドのギャップをトラックと直角方向に対しわずかに傾けると,再生出力が低下する,という性質を利用したものだ。ただ,この方式が有効なのは高周波成分の雑音除去だけで,低域変換して記録している色信号の雑音除去には有効でない。そこでベータではPI(Phase Invert),VHSではPS(Phase Shift)と呼ぶ色信号処理を採用したのが,もう一つのポイントだった。

1時間と2時間の違い

 両者はアジマス角,色信号の雑音処理方式,テープのローディング方式などで違っていたが,それらの技術的な優劣で勝敗がついたわけではなかった。1時間と2時間という,カセットの基本録画時間の違いが本質だった。

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