PDPや液晶の開発に注目が,自動車の電子化も始まる

日経エレクトロニクス表紙

 1973年10月,第4次中東戦争が勃発し,第1次オイルショックを引き起こした。12月には民放5社が深夜放送を自粛するなど,これまで右肩上がりに成長し続けてきた日本が省エネを意識するきっかけの年となった。エレクトロニクス産業界では,江崎玲於奈氏がノーベル物理学賞を受賞している。

 この年,読者に最も読まれた記事は3月26日号の「技術速報」である。日立製作所中央研究所がIllinois型PDPで64階調を達成したことや,液晶を使って多数行のリアルタイム文字表示を目的とした新しい駆動方式を開発したことなどを取り上げた。

 最も読者の参考になった記事は,10月8日号の解説「“ギアが入った”自動車エレクトロニクス」。自動車の安全性と公害の問題を解決する切り札として,自動車のエレクトロニクス化に期待が高まった時期である。自動車でICやLSIの採用が進み,1980年には半導体分野で200億円近い需要が生まれると見積もっている。この当時から既にエアバッグやマイクロ波を使った至近距離用レーダの開発が始まっていたことが分かる。

1973年に読まれた記事 BEST 3
  1. 技術速報(3月26日号)
  2. 技術速報(11月5日号)
  3. 海外技術速報(4月9日号)
1973年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. “ギアが入った”自動車エレクトロニクス(10月8日号)
  2. マイクロコンピュータ応用の動向を探る(12月31日号)
  3. 台頭著しいインク・ジェット・プリンタ(1月29日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

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