設計・生産 ものづくり現場の競争力アップに貢献する
 

技術の深掘りだけではダメ

三菱ケミカルホールディングス・三菱化学 社長 小林 喜光 氏

2008/05/14 11:00
印刷用ページ
小林 喜光 氏
写真:糠野 伸

 うちの会社の連中にいつも「too much technology oriented」なんて文句を言っているんですね。テクノロジーを深掘りするだけでは,ものづくりに生かすことができない。テクノロジーが縦の構造とすれば,横はマーケット。例えば自動車,エレクトロニクス,食品,あるいは住宅といった分野です。縦と横の両方を見ながら進んでいかないといけない,というのが僕の持論です。

 そのとき縦は何を志向するかっていうと,取りあえずは「秘伝のたれ」です。焼き鳥のたれとか,「訳が分からないけど,うまい」っていうのがありますよね。このような秘伝がある製品でないと競争力が出てきません。

 三菱化学メディアの社長だったころ,光ディスクやDVDで構築したビジネスモデルは,色素を握ってビジネス全体をコントロールするというものでした。光ディスクもDVDもポリカーボネートの上に色素を塗るだけでできる,いわゆるモジュールタイプ(組み合わせ型)の製品です。単純なものづくりで収益を上げることが難しいわけです。

 ところが,色素が秘伝のたれになれば全体を左右できる。標準化を進めて,この色素を使わないと,このDVD-Rの標準に合致する特性が出ないという仕掛けです。そういう技術的な縛りを入れないと,あっという間に台湾やインド,中国に取られちゃいますね。

 我々は多岐にわたるものづくりをやっているので,秘伝のたれの強さがよく分かります。典型的なのが医薬品。強力な特許さえ持っていれば,誰もマネができないので10年間ずーっとエンジョイできます。

 秘伝のたれ的な強みを持った事業は多くの場合,扱う量は少ないですが利益率は大変高い。反対に,化学の著名な研究成果を用いたような,技術の内容がオープンで,プロセスも触媒もほとんど分かっている分野は誰でもできるので,利益率は低いけれど量的なうまみはある。どちらを採るかといったら,我々の場合は両方やります。それぞれにリスクがあるので,平準化するためには片方というわけにはいきません。

ここから先は日経テクノロジーオンライン会員の方のみ、お読みいただけます。
・会員登録済みの方は、左下の「ログイン」ボタンをクリックしてログイン完了後にご参照ください。
・会員登録がお済みでない方は、右下の会員登録ボタンをクリックして、会員登録を完了させてからご参照ください。会員登録は無料です。

【技術者塾】(9/16開催)
開発・設計者必修の購買コストダウン術

~コストダウン効果の高い開発購買と購買業務の基本テクニック~


設計と購買に精通した開発購買のプロが、開発・設計技術者に向けてコスト削減活動の重要性と活動への心構え、機能購買、有利購買の考え方・進め方、コスト分析技術、価格を決める交渉術など、開発購買を効果的に進めるために必要な購買知識を分かりやすく解説します。 詳細は、こちら
日時:2015年9月16日(水)10:00~17:00
会場:Learning Square新橋(東京・新橋)
主催:日経ものづくり

マイページ

マイページのご利用には日経テクノロジーオンラインの会員登録が必要です。

マイページでは記事のクリッピング(ブックマーク)、登録したキーワードを含む新着記事の表示(Myキーワード)、登録した連載の新着記事表示(連載ウォッチ)が利用できます。

協力メディア&
関連サイト

  • 日経エレクトロニクス
  • 日経ものづくり
  • 日経Automotive
  • 日経デジタルヘルス
  • メガソーラービジネス
  • 明日をつむぐテクノロジー
  • 新・公民連携最前線
  • 技術者塾

Follow Us

  • Facebook
  • Twitter
  • RSS

お薦めトピック

日経テクノロジーオンラインSpecial

記事ランキング