イギリスには「ギャップ・イヤー」という制度があるという。高校から大学に進学する間の1年を自由に過ごせる制度である。英国の若者はこの間なんでもできるのだ。海外へと放浪の旅に出るものもいるだろうし、社会に出てしばし働くものもいるだろう。あるいはボランティア活動にいそしむ若者もいるかもしれない。このように、国内外で社会での体験を積み大学に入るのである。有名大学に入るための予備校が大人顔負けのマンション型寮を提供する国とは何かが違う。

 米国には「サマー・スクール」なる制度がある。中・高校生が夏休み(学期が9月始まりのため、夏休みは学年と学年の間にあり、学生は自由にこの間を過ごせる)の間、別の遠く離れた学校に行きそこで勉学や様々な活動に参加する。サマー・スクールには勿論海外からの参加もあり、そこでは国際交流が行なわれる。

 これは筆者の実体験である。ある夏、娘を迎えに東部にある有名進学高校(一般にプレップスクールと呼ばれる。ここはブッシュ大統領もそのパパも出たところ)に行ったときのことである。高校とはいえキャンパスは東大の本郷キャンパス並みに立派なものだ。もっと驚いたのは教室。部屋自体は普通なのだが、中には丸いテーブルとイスが10個ほど置かれているだけなのである。

 娘にどうやって授業をするのか聞いたところ、その丸いテーブルに先生と生徒が共に座り授業をするという。その話を聞いたとたん、「ああ、これは敵わないな」と思ってしまった。教室にすし詰めになり一方通行の授業を強いられている生徒と、こうやって先生と他の生徒の顔を見ながら双方向の議論をしなければならない(居眠りなどしていられない)生徒とでは、何か「大きな違い」が生れるように思ったのである。

3度目の国際化

 いま、日本と日本人は近代史上3度目の国際化のチャンスを迎えている。第1回目は明治維新、2回目は太平洋戦争の敗戦、そして3回目が今ではないだろうか。