TENORI-ONを触ってみました
TENORI-ONを触ってみました
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 2008年4月25日,ヤマハの発表会に参加し,デジタル楽器の新製品「TENORI-ON(テノリオン)」を触る機会を得た(Tech-On!の記事,同2)。その感想を一言で言えば「楽しかった」。以下,その感想を報告する。

 TENORI-ON(テノリオン)は,「音楽の知識がなくても作曲できる」(ヤマハ)ことを売りにした正方形状の楽器。機器前面にズラリと並んだ256個のLEDが押しボタン・スイッチになっていて,ここを操作して音楽を演奏したり,作曲したりできる。寸法は205mm×205mm×32mm,重さは700g程度と,人間の両手のひらの上に載せられる。価格は12万1000円。

動画 使ってみましたTENORI-ON(約4分50秒の動画)
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 「ちょっと高いけど,欲しいな」。触った後の率直な印象だ。なぜそう思ったかというと,まったく練習をしなくても,最初の段階から作曲家気分を味わえるからである。ギターとかピアノといった従来の楽器では,普通の素人が作曲することはまず不可能だ。こうした楽器で作曲するためには,ドレミファソラシドといった音の演奏技術とともに,リズムとかコード進行などの音楽的な知識も必要になる。

 しかし,TENORI-ONは違っていた。気の向くままに,好きなボタンを自由に押していくと,いつしか,それなりのリズムやメロディーが出来上がる。基本となる演奏モード(スコア・モード)では,機器前面に並んだ縦16個,横16個のLEDを使って,縦方向で2オクターブの音階を,横方向で音の出るタイミングを決められる。縦方向では,上の方のボタンほど高音になり,横方向では例えば離れた位置にある2個のボタンを押せば,広い間隔で音が鳴る。自分が押したボタンによるフレーズは繰り返し演奏されるので,音楽の知識がなくても,変だと思った音は消して押し直したりと,試行錯誤しながら修正できる。

 これに,あらかじめ定められたモード演奏をドンドン重ねていける。例えば,機器前面に並んだLEDボタンをランダムに押したり曲線を描いたりすると,その動きを記録して描かれた点,線,曲線を繰り返し演奏する「ドロー・モード」というモードがある。これらのモードを重ねていくにつれ,だんだんと本物っぽい曲が出来上がっていく感覚を味わえる。この感覚が一番楽しい。しかも、一連の操作の中で音符や楽譜といった概念をほとんど意識しなくて済む。

 ここまでつらつらと説明してきたが,実際に機器を演奏してみないと,TENORI-ONの良さは伝えきれないような気もする。実際私は,発表会で聞いているときはあまりピンとこなかったが,実際に自分で触って使っていくうちに何となく良さが分かってきた。何も考えずに気の向くままにLEDボタンをいじっていくうちに,いつのまにかそれなりの音楽が出来上がる。音楽の初心者でも最初から何となく作曲できる上,触って慣れれば慣れるほど,ドンドン作曲能力が上がっていくと思える。

 「触って楽しい」。この感覚は,米Apple,Inc.の「iPod touch」を初めて触った感覚に近い。その意味では,iPod touchや「iPhone」のように,ユーザー・インタフェースで勝負する機器と感じた。ヤマハはTENORI-ONの実機を全国の楽器店やCDショップなどに展示するそうなので,読者の皆さんもぜひ触ってみてください。

 最後に,発表会の前日の深夜にTENORI-ONのコンセプト・メーカーである岩井俊雄氏の提案で組み立てられたという,TENORI-ONで操作するピアノを紹介する。MIDIでピアノとTENORI-ONがつないであり,TENORI-ON上の操作でピアノの鍵盤が動き音が鳴る。

動画 TENORI-ONからピアノを弾いてみました(約1分54秒の動画)
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