成立で利権を失う文科省

 この内容を知り、文部科学省の方々は、自分たちの権益を守るために宇宙基本法を中傷するような情報を流したとしか私には思えません。私たちの法律が成立すれば、2000億円近いJAXAの予算は内閣府の宇宙局が持つことになり、文部科学省には予算の権限がなくなります。さらに、現在JAXAの理事9名のうち2名は文部科学省OBとなっていますが、新しい宇宙基本法では、JAXAには中央官庁からの天下りはできないようにしています。当然、事務レベルの方々が片道切符で行かれるということはありますが。

 このように、宇宙基本法が成立すれば文部科学省は、予算と人事という両面で大きな権限を失うことになるのです。こうした事態に危機感をつのらせたのか、聞くところによると文部科学省の方たちは、共産党や社会民主党の国会議員に直接説明を始めているということです。官庁の方たちが特定野党の人たちに、自ら進んで説明をして歩くなどというのは、普通はあり得ないこと。私の知る範囲では初めてのケースです。

 これもやはり「ねじれ国会」の影響でしょう。今までだったら、官庁が法案に反対だったら自民党にだけねじこめばよかった。自民党さえ丸め込めれば、自分たちの意に反する法案は成立しなかったのです。しかし、今は自民党の意見がすべて通るわけではないのです。民主党は参議院で第1党になり、政府体制の抜本的な改変を打ち出しています。今回の法案にしても、民主党が参加することで、当初の自民党案である宇宙基本法案を大幅に書き換えることができました。これには、文部科学省の官僚もあわてたことでしょう。彼らは私たち野党を抑え込む手段を持っていなかったのです。こちらには文教族議員はいませんから。

官僚は政治活動をすべきではない

 官僚機構は、政治が決めた政策を実施するために存在します。官僚機構が政治家を動かそうとすることは、民主主義のルールを犯すものだと私は思います。イギリスでは、官僚は国会議員に会うことができなくなっています。政府と国会の調整は政府に送り込まれた数多くの国会議員が行うようにルール化されているのです。

 まだまだわが国は官僚支配の国家です。これを絶対変えていきたい。そう私に誓わせるような出来事でした。その第一歩がこの基本法。ゴールデンウィーク明けに必ず宇宙基本法は成立させて見せるぞ、と決意を新たにしているのです。

【訂正】 記事掲載当初,「宇宙開発で取得した技術をミサイル防衛に応用することはできない」としていましたが,弾道ミサイル防衛(BMD)については違った見解が示されていることから,本文を修正しました。