NECのLui
NECのLui

 日本のように,月額通信費が安くて定額の高速インターネット接続サービスが普及した市場では,パソコンのアーキテクチャを大幅に見直すことも考えられる。その点で,2008年4月にNECが発売した個人向けシンクライアント・システム「Lui」は,注目に値する。無線ネットワークの向こう側にあるコンピュータの演算能力を活用できるので,端末側を小型軽量にし,電池寿命を大幅に長くできる。現状では価格が高いことが問題だが,同社はコストの引き下げに意欲的である。

企画案は幾千も

 インターネットが用途の中心になった今,その窓となる機器の外観や構成は,何もノート・パソコン然としたモノに限らない。パソコンと携帯電話機の間を狙った商品に対する企画案は,「幾千通りも考えられる。その中から個人ユーザーに合うものを探し出す」(国内パソコン・メーカーの企画担当者)必要がある。パソコン・メーカーにとっては,企画力が真に問われる時代がやって来る。

 話は携帯型のインターネット端末にとどまらない。テレビやデスクトップ・パソコン,ゲーム機など,あらゆるデジタル機器がネットにつながる時代が始まっている。これらの機器でも,激安,そこそこの性能,デザインや使い勝手の重視といった特性が求められている。超小型パソコンの市場の制覇は,すべての機器がネットと融合するユビキタス時代で勝ち残る第一歩なのである。

 本稿は『日経エレクトロニクス』,2008年5月5日号特集記事「小型PC騒乱,勝ち残りの条件」を要約したものです。詳しい内容は,本誌記事をご覧下さい。