何もそれは古代に限ったことではなく、人という小さな単位にとどまる話でもない。日明交易と東山文化、南蛮文化と桃山文化、欧米思想と明治維新などなど、新たな枠組みが生まれるとき、必ずその背後に異形、異能の異邦人がもたらしたものの影がある。異との交わりがイノベーションを誘発するのである。本来的には、「異」なるものは、その異様さゆえに遠ざけられがちだ。しかし、時代の節目でその忌むべき存在は、停滞を一掃する重要な役割を果たしてきた。それは歴史が教えるところである。そして、しばしば歴史は繰り返す。

最後はお役所的に

 ちなみに、先に紹介した籔内氏デザインのキャラクターの愛称が公募されていたのだが、何と1万4539件の応募があり、その中から無事「せんとくん」が選ばれたようだ。遷都そのままである。事業協会によると、応募総数のうち「せんとくん」が337件と最多で、「ナントくん」が292件、「ブッカ」「鹿坊」がこれらに続いたという。「騒動はもうこりごり」ということか、こちらは公募でよくやる「最多のものに決める」という選挙方式で、ものすごく無難に決めたようだ。どうせなら、またぞろメディアを賑わすような名前にしてほしかったと思うのだけど。「本当は童子なんだけど仏様に間違われ、角を生やすなどけしからんと物議を醸した」ということで「物議くん」、一ひねりして「仏疑くん」とか。まあ、むりか。

 そういえば、実は私も応募した。その愛称ではなくて、社内公募のあった「創立40周年記念のシンボルマーク」に作品を提出したのである。そこそこの賞金がでるとかで、その金額に目がくらんでしまったのだ。でも、まだ何の音沙汰もない。きっとボツになったのだろう。残念である。でも、採用されて「センスない」とか「金返せ」とかメールがバンバン来るよりは、よほどよかったとも思う。そうそう、あの葡萄は絶対に、ものすごく酸っぱかったに違いない。

【訂正】記事掲載当初,籔内佐斗司氏の名前を誤って掲載していました。お詫びして訂正いたします。現在は既に訂正済みです。