ハイブリッド車技術,牽引役にふさわしいトヨタ
2008年1月13日,デトロイト・モーターショー(2008 North American International Auto Show)が開催された。今年のキーワードは「環境」だ。原油高や米国経済の腰折れなどを背景に,地球温暖化問題も加わって,各社が出展する車は,ハイブリッド車や燃料電池車,エタノール車などの環境車や小型車など,低燃費・環境負荷低減をうたったものが勢揃いした。まさに「環境」がこれからの車のメインコンセプトだといえる。
今,自動車にとってその環境性能は必須となりつつあるが,それを実現する技術は様々。従って,自動車メーカーの取り組みも各社各様である。そこで先ず,主要な車の環境技術であるハイブリッド・電気自動車,ディーゼルエンジン車,ガソリンエンジンの燃費性能向上技術,代替燃料車,そして今後商用化が期待される燃料電池車の5分野を俯瞰してみた。
図1は,これら5つの環境技術に関して日本に出願された特許の出願件数の推移を追ったものである。なお,代替燃料に関しては,検索式の関係上,1997年以降に出願された特許のみを対象としている。
ガソリンエンジンの燃費性能向上技術が常に件数首位を保っていたが,2001年には燃料電池が,また2005年にはハイブリッド・電気自動車が出願件数でガソリンエンジンを追い抜いた。車の環境技術というと,トヨタが初めて商用化に成功したハイブリッド車や究極のエコカーともいわれる燃料電池車がよく取り上げられるが,市場に最も普及している車であるガソリンエンジン車の環境性能を向上させるための取り組みも着実に行なわれてきたことが分かる。ただ,直近にはハイブリッド・電気自動車,燃料電池車に関する出願件数が増え,研究開発の場面でもハイブリッド・電気自動車,燃料電池車の重要性がますます高まってきたことが伺える。新しい動力源を活用した車が実用化・普及の段階に着実に近づいている。
そこで今回は,日本国の特許情報を用いて環境技術の中でもハイブリッド・電気自動車に着目し,技術開発の動向をみていく。分析には,公開されている特許情報をもとにして,特許を保有する企業の技術的な競争力を測る指標であるPCI(Patent Competency Index)を利用する。PCIとは,SBIインテクストラが独自に開発したもので,権利としての強さや,各企業の注力度,各特許の注目度などを特許データから計測し,個々の特許の質を数値化した指標である。
トヨタの強さが技術でも裏づけられる
市場を切り開いてきたトヨタ自動車だけでなく,デトロイト・モーターショーでは,米General Motors(GM)社や,Daimler Chrysler社の米国メーカーがハイブリッド車を積極的に発表。さらに,2008年3月に開催されたジュネーブモーターショーでは,BMW社がディーゼルハイブリッドのコンセプトカー「Vision Efficient Dynamics」,Volkswagen社がディーゼルハイブリッドのコンセプトカー「Golf TDI Hybrid」をそれぞれ発表しており,世界中のメーカーがハイブリッド車の開発に余念がない。ハイブリッドへのスタンスは各社各様であるが,2007年はプラグインハイブリッド車も話題となり,時代はハイブリッドを後押ししているようだ。
トヨタは1997年に世界で初めてハイブリッド車「プリウス」の量産を開始して以来,2007年11月末にはハイブリッド電気自動車の世界累計販売台数125万台に達しており,「環境のトヨタ」として大きな存在感を示している。
2008年の年頭所感で,トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は,2010年代のできるだけ早い時期に,年間100万台のハイブリッド車販売を実現させ,その先には「ハイブリッド技術の全モデル展開」を目指していきたいと語っている。また,2008年1月14日,デトロイト・モーターショーで同氏は,2010年までに,リチウムイオン電池を搭載したプラグインハイブリッド車を発売することも発表した。
図2はハイブリッド・電気自動車に関する日本国特許の出願状況の推移を各社ごとに示したものである。特にトヨタの伸びは著しく,ハイブリッド・電気自動車に一層力を入れていくという固い決意が垣間見える。
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