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大きいことはエライことではない

仲森 智博=編集委員
2008/03/21 14:00
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 深夜に帰宅してテレビをつけると、いきなり「毎日がスペシャール」という聞きなれたビデオカメラのCMが流れてきた。そうかぁ、もう春なんだなぁ。何だか気持ちも暖かくなってくる。

 以前にAV機器の商品企画を担当している方に話を聞いたのだが、ビデオカメラはきわめて明確に「この人、この時期」というのが決まっている商品なのだとか。主要顧客は子供を持つ親で、彼に言わせれば「それ以外にはぜーんぜん売れない」。売れる時期は春と秋、すなわち卒業式/入学式と運動会の時期で、それ以外はさっぱり売れないのだという。だから、CMは売れる時期に絞って集中的に流す。それをみて人は「ああ、春だな」とか「もう秋か」と感じるのである。いや、そう感じているのは私だけかもしれないけど。

 もっとも、ビデオカメラを「もっといろんな人たちに使ってもらおうではないか」「しかも、できれば一年中」と、メーカーとしても頭をひねった時期があったらしい。けれど、たとえばユーザー層を広げるために価格を低く設定すると、肝心の親たちが買ってくれなくなるのだとか。「ほらよく聞くでしょ、PTAの会合で奥さん同士が持ってるカバンのブランドで張り合うなんていう話。バーキンとか持ってたら相当威張れるけど、××くらいだと軽く見られるみたいな。ビデオカメラも同じようなものですよ。ほかの親の目が光っているから、高級機種、最新機種を頑張って買おうとする。安い機種を運動会で使ってたらバカにされると思っているみたいですよ。こわいですねぇ」。

 それでも頑張って、価格低減や用途提案に励んだこともあったらしい。けれど、いくら安くしても普通の人はさっぱり振り向いてくれない。こうした経験を積んで「どんなに安くても親以外は買わない商品なんだ」ということを悟るに至り、わき目を振らずに高級路線をひた走ることにしたのだというのが彼の説明だった。

やれば絶対に受けるもの

 いきなり横道に反れてしまったが、今回話題にしたいのは、もう一つの、やはり春と秋になると毎年必ず盛り上がる不思議な季節商品についてである。それは「京都」。人々がこぞってかの地に押し寄せるのは桜の季節と紅葉の季節。その時期に合わせ、多くの雑誌が京都を特集する。その繁忙を分散したいJRなどは、わざとその時期を外して宣伝したりしているけれど。

 ただ、やたら春秋に各種雑誌が京都を特集するのは、「その季節に京都が賑わうから」という理由だけではないらしい。ある出版情報通によれば、「困ったときの京都特集」などとも言われるほど、「京都」は「それさえやれば絶対に売れる最強のコンテンツ」なのだという。だから、雑誌が売れなくなると「とりあえずこの春は」ということで京都の特集を組む。すると人気が持ち直す。その効果が薄れてきたころに秋がきて、また京都。そして春秋の京都特集が定番になっていくのである。けれど、それが高じて季節を問わずやたら京都特集を乱発したりするようになると、「ああ、あそこもかなりしんどくなってきたな」と業界人に見抜かれてしまったりする。おそろしいことだ。

 話題は観光やグルメなどに限らない。季節テーマではないけれど、京都はビジネス誌の分野でも「困ったときの」と呼ぶに足る相当にキラーな特集コンテンツであるらしい。確かに、京都には京セラ、任天堂、村田製作所、ローム、島津製作所、大日本スクリーン製造など、異色の経営者に率いられるユニークな企業が数多くある。こうした企業の経営手法を経営者のインタビューなどを交えながら解きほぐしていく、といった特集を組めば、必ず当たるのだという。

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