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東芝の半導体・演算処理や情報記録など総合的に高レベル

朝岡拓也=SBIインテクストラコンサルタント・弁理士
2008/02/25 13:00
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 2008年2月19日,東芝は事業戦略を見直し,HD DVD事業から撤退すると発表した(Tech-On!特設サイト・次世代DVD戦いの軌跡参照)。その発表の際に,半導体のNAND型フラッシュメモリ,大容量・小型のストレージ,次世代CPU,画像処理などの技術を最大限に生かし,次世代映像事業の中長期的な新戦略を再構築するというメッセージも掲げている(Tech-On!関連記事1)。また,時をほぼ同じくして,ソニーとの高性能半導体の生産合弁会社設立に関する発表も行った(Tech-On!関連記事2)。東芝の強みである半導体事業強化の姿勢を打ち出している。

 これらのトピックスを踏まえた上で,今回は特許データから東芝の半導体事業を俯瞰する。分析には,公開されている特許情報をもとにして,特許を保有する企業の技術的な競争力を測る指標であるPCI(Patent Competency Index)を利用する。PCIとは,SBIインテクストラが独自に開発したもので,各特許の注目度などを被引用数や情報提供数などのリアクション数により計測し,個々の特許の質を数値化した指標である。

フラッシュメモリ技術に強味

 まず,東芝の保有する半導体に関する日本出願特許を,「演算処理」,「情報伝達」,「情報記録」,「機能の組み合わせ」,「音声」,「設計」,「その他」の各項目に分類した上で,それぞれの項目を出願件数(技術ストック)シェアとPCI(特許力)シェアで比較したみた。ここで,演算処理には計算装置などデジタルデータ処理に関する技術が,情報伝達にはデジタル情報などを通信するための技術が,情報記録にはデータの記録用装置や記録媒体に関する技術が含まれる。


図1 東芝が保有する特許を項目別に分けた出願件数シェアとPCIシェア (画像のクリックで拡大)

 演算処理に関する特許は,出願件数シェアが約40%と最も多い。また,今年1月に米国ラスベガスで開催されたデジタル家電関連では最大となる展示会「2008 International CES」では,ノート・パソコン向けメディア・プロセサ「SpursEngine」を搭載したAVノートPCや,マイクロプロセサ「Cell Broadband Engine」を搭載したテレビ「Cell TV」の展示を行なった。このように演算処理に含まれる,高画像処理技術を搭載した製品の市場投入に暇がない。

 一方で,特許力シェアからは,情報記録に関する特許がシェアを伸ばしている状況が分かる。同社の半導体事業の核の一つとなるフラッシュメモリに関する技術は,演算処理や情報記録に含まれ,優良な技術資産である。HD DVD事業から撤退することを表明した一方で,NAND型フラッシュメモリ新製造棟の建設も発表しており,この領域での技術力と製造能力増強に余念がない。

情報記録分野ではトップの技術力

 ここでは,東芝の技術力を検証していくため,日本出願特許に関して演算処理,情報記録の各項目に焦点を当てて分析してみる。


図2 国内特許の中で演算処理に関するものを企業別に見た出願件数シェアとPCIシェア (画像のクリックで拡大)

 演算処理を見てみると,出願件数では松下電器産業が2位に500件以上の差をつけて首位に立った。2位以下は,1500件から2000件程度の間で拮抗している状況だ。一方で,PCIシェアでは富士通,東芝,日立製作所の3社がほぼ横並びで,日本電気もその3社に迫っている。出願件数で首位だった松下電器産業は順位を落としている。


図3 国内特許の中で情報記録に関するものを企業別に見た出願件数シェアとPCIシェア (画像のクリックで拡大)

 一方で,情報記録を見てみると,出願件数では松下電器産業とソニーが激しい首位争いをしている。1000件以上出願しているのはこの2社だけである。PCIシェアでは,東芝がトップに,日本電気が2位にそれぞれ躍進した。富士通もPCIが高い。

総合的な技術競争力で優位な東芝,日本電気

 次に,半導体技術全般に対して,出願件数シェアとPCIシェアを見てみる。出願件数では,松下電器産業が17%のシェアを占め,頭一つ抜けている。ソニーと東芝もシェアが10%を超えており,十分な技術ストックを有しているのが分かる。しかし,4位以下との差もあまりなく,様々なプレーヤーがしのぎをけずっている状態が明らかになった。


図4 半導体技術全般に関する特許を企業別に見た出願件数シェアとPCIシェア (画像のクリックで拡大)

 PCIシェアでは東芝,日本電気が大きなシェアを持っている。この2社が高い技術競争力を有していることが分かる。

 米iSuppli社の調査によると,東芝は2007年の半導体世界売上高ランキングが第3位,2007年第2四半期の世界フラッシュメモリ売上高が第2位だった。研究開発の成果である特許データから見れば,同社は着実に半導体事業を強化している状況にあると言える。


    今回の分析条件

    【分析対象の特定(母集合)】
    1995年1月1日から2005年12月31日までに出願された日本特許出願を対象に,本分析では,IPCとキーワードによって母集団を作成した。キーワード検索については,発明の名称,要約,特許請求の範囲のみを対象としており,全文は対象としていない。 また,各技術の分類については次のIPCとキーワードで分類している。
    ・演算処理:IPC前方一致(G06)
    ・情報伝達:IPC前方一致(H04)
    ・情報記録:IPC前方一致(G11)
    ・機能の組み合わせ:IPC前方一致(H01L27)
    ・設計:IPC(H01L2182) and KW(設計)
    ・音声データ処理:IPC前方一致(G10)

    【分析対象企業】
    日本出願特許件数上位の10社と,半導体業界で市場規模が大きい日米韓の代表企業(日本:東芝,ルネサステクノロジ,米国:インテル,テキサス・インスツルメンツ,韓国:サムスン電子,ハイニックス半導体)を対象としている。

    【本分析に利用したPCI指標】
    全分析対象特許に対し,「他社からの注目度を示すPCI指標項目」に100%のウェイト付けを行なって各特許のPCI値を算出した後,特許のステータスにより以下のパーセンテージをかけて算出した。
    登録特許:100%  審査請求済み特許:50% 公開済み特許:30% 消滅特許:0%

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