均衡は一夜にして崩れた。2008年1月4日,米Warner社はHD DVD規格によるコンテンツの提供を止め,Blu-ray Disc規格に一本化する意志を明らかにした。Warner社は,当初はHD DVD規格のみに賛同していたが,2005年10月に方針を転換,二つの方式を併用してきた。Warner社の翻意が表面化したのは,折しも「2008 Internatinal CES」が始まる直前だった。HD DVD普及推進団体は,CESの会場で予定していた記者会見を急遽取りやめた。

 一度崩れた力のバランスは,揺り戻しを見せるどころか,押しとどめられない勢いで一方に傾いていった。1月6~12日に米国におけるHD DVDプレーヤーの販売台数は, 前週比88%減の1758台に激減。2月11日,オンライン店舗によるDVDレンタル事業の最大手である米Netflix社は,今後Blu-ray Discのみを取り扱うと表明する。2月15日,ついに米小売最大手のWal-Mart社が,「HD DVDプレーヤーの扱いを2008年6月までに取り止める」と発表した。あとは時間の問題だった。

 2008年2月19日。東芝は,HD DVD事業の終息を宣言した。6年前,Blu-ray Discが産声を上げたのと同じ日に,HD DVDは短い生涯の幕を引いた。

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* Tech-On!ではこれまで,次世代DVDに関する動きを詳細に報道してきました。関連記事は500本以上にも上ります。2002年から各年ごとに分けて動きをまとめるとともに,それらの関連記事へのリンクを集めました。本記事はその2008年版です。