HDDを増やした方が安くなる


図6 映像コンテンツの配信に現実味
家庭のアクセス回線の速度がこのまま伸び続ければ,2003年ころには10Mビット/秒に届きそうだ。SDTV(standard definition television)画質を実時間で送るのに十分な速度である。2005年ころには,HDTV(high definition television)画質の映像配信サービスも現実味を帯びてくる。ちなみに図中には,現在(または将来)月額1万円以内で定額制が導入できる主な回線をプロットした。(図:本誌)

 それだけではない。2002年~2003年は,ビット単価からみても機器の普及を左右する正念場になるタイミングだ。

 2002年には,HDDの装置全体のビット単価と光ディスクの媒体のみのビット単価が逆転してしまう。すなわち光ディスクを購入するよりもHDDを増設した方が安くなる。HDDの面記録密度が現在の年率100%で向上し続ければ,2002年には市場価格が1Mバイトあたり0.06円程度になる(図7)。OEM価格はこれよりも低い。これに対して次世代光ディスクは,1枚3000円程度で販売を始めたいという媒体メーカの意向を取り入れれば,ビット単価は0.12円程度(25Gバイト品を3000円とした)と高くなる。


図7 次世代光ディスクのビット単価は当初からHDD以上に
2002年にも登場する次世代光ディスクのビット単価は,発売当初からハード・ディスク装置(HDD)よりも高価になりそうだ。これまでのCDやDVDの書き換え媒体とは異なる。HDDの記録密度向上が衰えないと仮定した場合,2002年における1Mバイト当たりの価格はHDDが0.06円程度となる。これに対して片面25Gバイトの次世代光ディスクは0.12円程度,両面50Gバイト品は0.08円程度と本誌では予想した。(図:本誌)

 もっとも,光ディスクは量産が進むと,あっという間にビット単価が下がる。「次世代光ディスクは材料費でみればCD-RWディスクと大きく変わらない。問題は製造規模だ。大量生産に入れば1枚当たり100円~200円も可能」(ある光ディスク関連の技術者)という。HDDのビット単価には及ばなくとも,この価格帯になればCD-Rディスクのように爆発的に普及する可能性はある。

HDTVパッケージに期待