突然だが、温暖化の時代に生き延びる知恵を出してみることにした。もちろん、理由がある。年末年始、連日連夜に渡ってテレビで「環境問題」特集が流されていたからである。マスメディアに影響を受けやすい順応型人間である小生は、「このままだと大変なことになります報道」にいともたやすく翻弄されて頭が熱くなり、天下の一大事、なんとか知恵を絞って生き延びる手段を考えようと勇み足してしまった次第である。

 ソファーに足を投げ出して、煎餅をボリボリ、マンガを読みながらではあるが、視た番組はざっとこんなところである。「テレビ朝日開局50周年記念特別番組~地球危機2008」、「仲間由紀恵の蒼い地球」、「日経スペシャル ガイアの夜明け」、「NHKスペシャルの気候大異変」。

 2008年が始まってはや半月が経つが、職場でも「温暖化」に関する話題を頻繁に聞くようになった。ある人によれば、北京オリンピックが開催される中国北京都市周辺の大気環境汚染が、選手に深刻な影響を与えるのではと懸念されているらしい。国内では北海道洞爺湖サミットがある。京都議定書の件もあり日本の面子にかけて相当思い切った温暖化対策を打ち出すべきとの声が高まっているとも聞く。どうやら2008年は「温暖化年」になりそうだ。

 そんな危機感をあおりつつも、多くの番組は「いや、このままだと本当に大変なことになりますね」みたいな台本通りのコメントをタレントが述べるだけという、よくある報道スペシャルものである。まあ、あまり参考にはならない。

 では具体的に、われわれの日本に何が起きるというのか、いったいどうすればいいのか。それが知りたくなったのでパソコンのキーワード検索で「二酸化炭素 温暖化」と打ち込んでみたら「NHK 週刊こどもニュース」なるものが出てきた。1997年に放映された情報なのだが、身の回りの具体例を挙げてわれわれの生活汚染が今後どう悪化するか具体的にわかりやすく解説されていて、かなり参考になる。

 それにしてもこの記事が10年も前に「NHK 週間こどもニュース」で取り上げられていたのには驚いた。真剣になるのが10年遅かったかとも思ったが、いやまだ間に合うはずだ。ということで、とりあえず「どうすればこの危機を乗り越え生き残れるか」をテーマに、アイデアを出してみることにした次第である。

 結論からいえば、大丈夫である。たぶん。ただ、住み慣れた東京は離れなければならない。温暖化から逃れるために、日本で一番涼しい北海道に移住するのである。この、あやしげな解決策のそれらしい根拠について、「シリーズ『低炭素社会を生きる知恵』第1回」と勝手に銘打ってご紹介したいと思う。

 先に触れた1997年放映のNHK 週刊こどもニュースでは、「今週の大はてな」のコーナーでこんな話題が取り上げられていた。

 「問題は海面の上昇だけではありません。平均気温が2度高くなるということは、東京が鹿児島並みになるということです。日本列島が、今より400キロ以上南に動くようなものです。こうなりますと、これまでコメが作れなかった北海道の北でもコメが作れるようになるなど、北日本ではコメがたくさんとれるようになります。その一方で、南では今の日本のコメを作るには温度が高くなりすぎ、味が落ちたり作れなくなったりします。タイなどで栽培されているタイ米のようなコメしか作れなくなるかも知れません」

 「そうか、暑さで参っちゃうよりも食えなくて倒れる可能性があるのか」と、目から鱗が落ちた。そういえば、温暖化による気候変動で米前線が北上してやがて北海道特産になるという話を聞いたことがある。中国地方にいたイノシシとか鹿とかも北上して、今や東北辺りまで分布するようになったのだとか。

 鹿はともかくとして、食料自給率4割、海外依存率6割という日本にあって米ができなくなって、世界的にもできにくくなって、輸入すらできなくなったらどうしたらいいのだろうか。そうでなくても経済成長が著しい中国とインドの計30億人の人たちの食生活はどんどん贅沢になってきているという。世界規模で食料の奪い合いが起きても不思議ではないのだ。

 そうなれば「自給自足生活」を考えねばなるまい。サボテンですらひからびさせてしまう我が輩が声高に言うことではないけれど。まあ、農耕作業ができるかどうかはさておき、とりあえず将来の「米どころ」北海道の農地をまだ安いうちに購入する。その一方で、自身は家庭農園でも借りて修行し、10年後に備えるというのはどうだろう。

 よしそれだ、ということで、日本の農耕地はどうなっているのかを調べてみた…(次のページへ