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HOMEスキルアップマネジメント久保田達也の「どうすりゃいいんだ」 > シュレディンガーの猫

  • 久保田達也=サイバー大学IT学部教授,イッツ代表,冒険家
  • 2007/12/19 13:05
  • 1/2ページ

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 「またVisioの基調講演をお願いしたいのですが…」と、マイクロソフトの担当者からメールがきたのは2007年の10月だった。2年ほど前、東京・大手町にあるサンケイホールでWindows向けのビジネス用グラフィックス・ソフトウエア「Microsoft Visio」の新製品発表会があり、「こんな風に使うと便利」と大道芸人みたいな実演講演をしたことがあったのだ。

 そんなにウケた記憶もなかったのでおどおどしながら電話をしてみたのだが、いきなり「いやー発想と結びつけて話をできるのは、日本広しといえどもくぼたつさんしかいませんよ」とか何とかおだてられ、ついついOKしてしまった。「まぁ、どうせオレなんかおまけ講師なんだから、笑いの一つでもとれればいいか」とか気軽に受けたのだけど、よく聞くとなんと「いえ、あなたは基調講演のメインスピーカーです」という。おいおい、先に言えよとか思ったけど、引き受けてしまったものはしょうがない。

 正直に言って、業務ソリューション系はあまり得意じゃない。何をしゃべればいいのだろうということで、最近編み出したVisio術を、またぞろ大道芸人風に披露する案を出してみた。

 「発想なんてのは一人でポチポチっとキーボード叩くだけじゃ寂しいわけよ。やっぱ気の合う仲間でへんてこりんなアイデアをばんばん書き込んじゃうのが一番でしょ。そうそう、チーム分けして競争なんかすると運動会の玉入れ競争みたいで盛り上がるんだよね。短時間でアイデア集まるし。海外のやつも参加してもらって国際間玉入れ競争って感じでAチーム、Bチームに分かれて『よういドン!』するわけ。世界地図上にアイデア数が見えるようになんてすると、もう大変。大激戦になったりするんだ。でも、そんなときにいいアイデアって、出るんだよねー」

 すると担当者は「あ、それ、面白いじゃないですか。それでいきましょうよ」とか簡単に言う。本当にそんな話が面白いのか、とか疑問を抱きつつも、担当者の「それですよ、それ」とかいう調子のいい掛け声に押されて内容まで決定してしまった。

 打ち合わせは、新宿・小田急サザンタワー内にあるマイクロソフトのオフィス。インテリジェント高層ビルの6階カウンターにはキリッとした受付嬢がズラリ。周囲はビシッとスーツ姿のエリートが固めている。ところが我輩は、あまりに軽い乗りでテーマが決まってしまったものだから、その流れで普段のジーンズ姿のままマウンテンバイクで乗り付けてしまった。「オレってKY(空気読めない)か」とうろたえつつも、スニーカーのキュッキュいう音をホールに響かせながら胸を張ってみたが、やっぱり何となく気まずい。

 余談だが、小生はよくバイク便の人と間違えられるのである。以前、文部科学省に行ったときは監視員の方に「はーい、バイク便さんは裏口へまわってくださーい」と言われてしまった。帰るときも裏口から「どもでしたぁ~」とかあいさつして出た覚えがある。ホントはブレーンとして会議に呼ばれたのに…。

 まあいいや。で、ソファーの片隅で小さくなって待っていると出迎えた担当者たちもジーンズ姿ではないか。「なーんだ、世間体を気にしない実力派はこうでなくっちゃな」などと気をよくした小生は、よせばいいのにプロのアイデア発想秘術を披露し始めてしまった。

 「だれがどんな提案をどのような筋道で閃いたとか、どのあたりのアイデアの出方に盛り上がりが感じられて良質のアイデアが爆発を起こしそうだとか、お互いの頭の中身が見えるようでおもしろいんだよ。ブレスト・チャットだと文字が並んでいるだけで飽きちゃうけど、こんな風に巨大な花火が夜空に盛大に爆発したみたいな絵が出来上がっているさまを見るとすっごくやる気になっちゃうんだ。わくわくどきどき興奮してこなきゃろくなアイデアは出やしない。この乗り乗りゲームがビジネスアイデア連発の秘術なわけよ」

 話し始めたら止まらない。豚もおだてりゃ木に登るけど、降りられないのだ。

 「そうそう、可視化するにしても、ブレストツールの…(次のページへ

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