その、本物の女子大生の彼女が「私の名はAyoです」という。早速、ビジネス・プランについて後日、仕事がオフのときに話をしようと約束した。ところが、待ち合わせの場所に彼女は現れなかったのである。


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 帰国前日に念のため例のカフェに行くと、「違うホテルのロビーで1時間待ってました、彼氏もいっしょに連れてきていた」と言う。そして「実は私、病気になっちゃたんです。これから病院に行くんです」と元気のない腫れぼったい顔をくもらせた。たぶん一般家庭の子女が大学に通うのは、すごく大変なことなのだろう。朝から晩までカフェで働き、睡眠を削って猛勉強しているにちがいない。きっとその疲れがでたのだろう。

 あ、そうだ、と思いついた。「また来るけど、ちょっと頼まれてくれないか」と、これから研究したいバリ事情の下調べ項目をメモ書きにして彼女に渡し、調査のバイトを依頼することにしたのである。「調査には金がかかるだろうからこれは前払い分」と、持ち合わせの現金をとりあえず全部渡した。ちょっと心配したけど、素直にそれを受け取ってくれた。

 「うまくできるかどうかわからないけど、わたし、一生懸命やります」

 ルピア札を両手で握り締め、彼女は泣いた。

オマケ

 オマケその1。「オレ様のこのルアーが釣れるんだってば」と釣りきちバリニーズ。鼻歌歌いながら馴れた手つきで自作ルアースペシャルを作る。いっしょに夕暮れのクタビーチで釣りした。「あぁなんて長閑なんだー、経済発展なんてどうでもいいや」


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 オマケその2。パラソルの下のリゾッチャ客とジモティー。金を稼いで1年のうち1カ月バリに来るというリタイヤ勝ち組夫婦。だが一生バリビーチにいるジモティーの方がはるかにたくさんの美しい夕陽を堪能している。


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読者の方へ
この連載では“起業案100を書きなぐる”をマラソンしてみようと思います。
身の回りの体験をヒントに脳裏に浮かぶ起業空想ロマンを書きなぐりしてみようと思うのです。
「人気がないから今回まで」と編集担当者が言えばそれまでですが、インターネット時代だから続きは我輩のサイトで行う所存でございます。