図1◎新型「フィット」
図1◎新型「フィット」 (画像のクリックで拡大)

 世界約115カ国で累計200万台以上を販売したホンダ「フィット」が、全面改良を受け2代目となった。モデル末期になって、なお販売が落ちないという人気車をどうモデルチェンジするかは、難しい問題だっただろう。センタータンクのプラットフォームを活かし、一目でフィットとわかる外観の印象を残しつつ、全ての性能で旧型を上回る理想のスモールカーを目指して新型フィットは開発されたという。

 車体は全長で55mm、全幅で20mmそれぞれ拡大されている。全高については、立体駐車場への対応で従来と変わらない。ホイールベースは50mmの延長だ。最初に見た印象は、一世代前の7代目シビックだった。7代目シビック5ドアの全長は4285mmと、新型フィットより385mmも長いが、車幅は同じで、車高はシビックのほうがやや低い。

 実際にはこれだけの違いはあるものの、新型フィットの存在感はまさに5ナンバー時代のシビックに思える。それだけ、新型フィットは車格も上がり、上級車になったということだろう。一方で初代フィットが持っていた、小さいけれどいいものが詰まったスモールカー、という独特の価値は薄れたと思う。

図2◎1.3Lエンジン
図2◎1.3Lエンジン (画像のクリックで拡大)

 エンジンは、1.3Lと1.5Lの構成で、これにCVT(無段変速機)が組み合わされるところは旧型と何も変わらないように見える。だが、エンジンは摩擦損失などを徹底的に削り、無駄を省き、低速域では二つの吸気バルブのうち一つを休止する「i-VTEC」を1.3Lエンジンに採用、1.5Lエンジンには同じi-VTECでもバルブタイミングとリフト、オーバーラップを回転数の高低で変えるシステムを導入するなど、内容の進化は著しい。

 カタログ上の10・15モード燃費は1.3Lエンジンを積む「G」の場合で24km/Lと、従来と同じ値だが、実用燃費で1.3Lは9%、1.5Lは5%の向上を果たしているという。それでいて最高出力もそれぞれ従来を上回っているのは「エンジンのホンダ」の面目躍如たるところだ。

図3◎1.5Lエンジン
図3◎1.5Lエンジン (画像のクリックで拡大)

 またCVTは、これまでの油圧多板クラッチに代えてトルクコンバータを組み合わせ、発進の滑らかさを向上させると共に、ノンクリープ制御を用い、停車中の燃料消費を抑えている。したがって、平坦路での発進ではクリープがなく、ブレーキペダルからアクセルペダルへ足を移動させた際、クルマが動かないことに最初は戸惑うほどだ。登り坂では、傾斜をクルマが感知し、クリープを生かすことでブレーキペダルから足を離しても後退するのを防ぐ。

 ステアリングについては、ギア比を早め、俊敏な操舵感覚とし、電動パワーステアリングのモータ電流を40Aから60Aに高めている。

この記事を中国語で読む