そうであれば、いっそのこと自然共存型エコホテルの仕組みを考えたらどうだろう。石油エネルギーを一切使用しない、人間にとっても生態系にとっても快適な居住空間サービスを提供するのである。そういえば昔、ロッキー山脈の高度3000mの地点にある、そのような居住空間実験施設を訪問したことがあった。断熱材を壁面に張っただけで冬でも室内でサボテンの花が咲いていたのを思い出す。オーストラリアでは、「乗り物は自転車のみ、地熱とソーラー発電がエネルギー源のすべて」というコテージに宿泊したこともあった。まずは自分でそんな実験ハウスを作って住んでみることから始めてみようか。思いついたら、何はともあれやってみる。その姿勢が大切なのである。

 再び海に視線を戻せば、見え隠れつつ沖を行く小船がみえる。サーファーや観光客を沖まで運ぶ船だろう。乗船代金は数百メートル先の世界有数のサーフポイントまでの往復で40000ルピア(約400円)。船乗りはみな地元サーファーで、ある程度の下積み期間を経たのち船元から小船運営を任されている。つまり、徒弟制度という秩序によって成り立つ「親方日の丸」的な利権組織であり、とうてい強烈な資金運用力と利権管理力を備えた外資系企業に太刀打ちできるものではない。


(画像のクリックで拡大)

 バリ第1号となる女性ホテル経営者は、地元人スタッフの育成からはじめなければならないはずだ。その上で資金を調達し、環境共存型のコンセプトをまとめ、用地を買収し…。そんなことを空想している後ろでは、子供たちが民族舞踊の稽古に余念がない。レッスンの合間だというのに、先生に詰め寄ってあれこれ質問を浴びせている。踊りが上手になることが、うれしくてしょうがないのだろう。無垢な自然が育て上げた無垢な心…。


(画像のクリックで拡大)

 このままでいいではないか。ふと、そう思った。

読者の方へ
この連載では“起業案100を書きなぐる”をマラソンしてみようと思います。
身の回りの体験をヒントに脳裏に浮かぶ起業空想ロマンを書きなぐりしてみようと思うのです。
「人気がないから今回まで」と編集担当者が言えばそれまでですが、インターネット時代だから続きは我輩のサイトで行う所存でございます。

1、クタリーフを眺める

2、クタリーフの夕暮れ

3、サンティカホテルカフェ

4、バリ舞踊