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技術経営戦略考

日本企業が海外企業と違うところ

  • アイキットソリューションズ 生島大嗣
  • 2007/10/31 14:57
  • 1/2ページ

 「確かに液晶をやっている企業の数に比べて有機ELをやっている日本企業は少ないですね。でも,このことが有機ELの事業化がうまくいかないという理由にはなりませんよ。日本以外でもやっている企業はかなりありますし。特に材料は、ほぼ独占状態にある液晶と違って、ELは照明用途も睨んでいるので多くの会社が研究開発しています。その上、使われている技術の多くが液晶技術と似ていますから」

 私がソニーの有機ELテレビの事業化に関して「どうなんでしょうね」と発した質問に、こう答えてくれたのは韓国の財閥系グループ会社で技術部長をしている、ある知り合いである。彼は元日本のメーカーの技術者なのだが、話していると、いつも視点を広げてくれる。彼の勤める韓国企業はヨーロッパにも研究所があり、その研究員とも日常的に交流がある。部署内でもさまざまな国籍の人間がいるとのことで、私よりグローバルな観点でいつも話をしてくれるのが、とてもありがたいのだ。

 私はできるだけ米国や中国、台湾、韓国などの企業や、そこに進出している日本企業で働く人たちと話をする機会を作るようにしている。そうした人たちから有益な話を聞いたり、問題提起を受けたりすることで、思考の幅を広げるためのヒントをもらえることがしょっちゅうだからである。

 話をする方々も自らの守秘義務を負った上なので、もちろん聞き出せる内容には限りがある。それでも、考え方や発想は画一的な日本企業のそれと違うことはよく分かる。日本企業に勤めている人に比べて一般に視点が広いことや、日本企業よりもリスク・テーキングに積極的なことがその理由だろう。もちろんお国柄にもよるのだが、こうした傾向は多くの海外企業に共通していると感じている。

内部に飛び込んでみる

 数年前になるが、アイデアハックシリーズの著者である小山龍介氏とシリコンバレーの企業を数多く訪問したことがある(http://www.ryu2.net/http://pc.nikkeibp.co.jp/pc/column/koyama/index.html)。彼とシリコンバレーの企業を回る目的のひとつはビジネスアライアンスであったが、もうひとつ裏の目的があった。シリコンバレーの企業がどのようにビジネスモデルを構築しているのか、その現状を内側から多角的に見たかったのだ。

 そのために二人でちょっとした仕掛けを作った。それは日本市場進出に関する英文のホームページとプレゼンテーション資料の作成だ。これをネタに数十社に向けて「話をしたい」というメールを送り、返事が返ってきたところを片っ端から訪問した。会う理由を作ってしまえば、相手はがぜん積極的になる。ビジネスチャンスを追い求める姿勢は強烈だ。

 帰国後、その成果を紹介するために日本企業を回ったのだが、その対応に日米の企業の体質差が露骨に表れていて非常に興味深かった。日本企業は非常に慎重で動きが遅く、リスクを徹底的に排除しようとするのである。「自分のポストを危険にさらすような行動を避ける」ことこそが最重要テーマであるかのように振舞う。従って、チャンスメーキングにはまったく積極的ではなかった。

 さらに、これはある程度予想していたのだが、シリコンバレーの企業が自らの「強み」として主張する技術の多くは、既に日本の大企業が内部に抱えていることも分かった。しかし日本企業の多くは、それらを用いた積極的なビジネス展開をあまり行っていなかったのだ。同じ技術を持っていても、その戦略、ビジネスモデルの組み立て方は大きく違ったのである。

「組織は戦略に従う」

 このときの比較対象は米国企業だったが、韓国企業や中国企業でもその対比の構造は変わらない。日本企業より、はるかに積極的に動くように思える。統計的・数値的にこれらを捉えたわけではないが、この傾向はほぼ間違いないだろう。

 日本企業に比べたときのシリコンバレー企業の特徴は、コアとなる技術といった独自性・独創性を新しいビジネスにつなげていくのに必要な「アイデア創造」や「コンセプトメーキング」を重視し、それによって戦略構築をすることだと考えている。すなわち、事業価値創造がうまいのである。それに比べて日本企業は、技術や製品の価値創造に重きを置く傾向がある。

 この傾向の代表的な事例が、日本経済新聞の2007年2月28日付の記事「成長を考える 幻のiPod」に載っていた。米アップル社より先に半導体メモリを使った携帯型オーディオ・プレーヤを考えていた三洋電機が事業化に失敗し、アップルは「iPod」で世界を席巻する事業を創り上げたという事例である。

 このように日本企業と海外企業ではその行動様式がかなり異なる。ただし重要なのは、アルフレッド・D・チャンドラーJr. が著作で言うように「組織は戦略に従う」のであって、その逆ではないということだ。現実的な戦略があり、これを実現するように組織は行動する。革新的な戦略を生み出すために組織を作るのではなく、革新的な戦略を支えるために組織を戦略的に構築することが肝要だと思うのだ。

組み換えが前提か、そうでないか

 両者は似ているようだが、この違いは大きい…(次ページへ

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