COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

【8人の女性技術者に聞きました】第1回 「最先端のものを作っている,そういう自負はあります」

東芝 梅澤華織氏,小林晃子氏

田島 進=主任編集委員,佐々木三奈
2007/11/08 09:00
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――NANDフラッシュ・メモリは「iPod」などにも使われる最先端の半導体ですが,その開発・生産に携わっているんですね。

梅澤 華織さん
東芝 セミコンダクター社
プロセス技術推進センター
半導体プロセス開発第四部
フロントエンドプロセス
技術開発第三担当 主務
梅澤 華織さん(1993年入社)

梅澤 半導体製造プロセスの洗浄工程の研究開発を担当しています。欠陥の原因になる微小なパーティクルを取り除く技術を開発し,工場に移管するのが仕事です。

小林 三重県四日市市の工場で,梅澤さんたちが開発した技術を量産ラインで使えるようにして,工場の現場に渡すというのが仕事です。

――半導体の量産工場は,ラインを止めてしまうとすぐ何億円もの損害が出てしまうシビアな職場だと聞きましたが。

小林 新入社員のころは,装置を止めてしまってすごく怒られたりしました。製品のラインに試作品を流すこともあるんですが,条件がちょっとでもおかしいとラインが止まっちゃうんです。すると,工場の現場からすぐ連絡が来て「また,おまえか」と(笑)。おかげで電話が怖かった時期があります。電話が鳴ると「また私,なんかやったっけ」みたいな。ホントに怖いんですよ。現場の人たちって,止めずに流すことが使命なんで。でも,もうちょっと優しくしてくれても…(笑)。


梅澤さんが所属するプロセス技術推進センターが入っている横浜事業所(神奈川県横浜市)の建屋の前で。梅澤さんの休日の楽しみは今年から始めたゴルフのレッスン。小林さんはクルマを運転することが,いい気分転換になるとか。 (画像のクリックで拡大)

――勤務時間は長いのですか。

梅澤 フレックスになっていますが,私の場合は9時から21時くらいですかね(笑)。同じ仕事をしていた人が何人か抜けてしまって,その分,最近は残業が増えているんです。

小林 私もフレックスを使えるんですけど,工場の現場で働いている人が2交代(9~21時,21~翌9時)なので,その人たちと話をする必要があって,朝は8時半くらいには会社にいるようにしています。工場には開発用のラインがないので,実際に量産で使っている装置を借りて実験などをすることがあって,入れ替わりの時間に「なんとか装置を借りられませんか」とお願いしたりするんです。で,帰宅時間は…(笑)。ひどいときはひどいですよ。クルマ通勤で,終電がないものですから,深夜2~3時までやってしまったり。

小林 晃子さん
東芝 セミコンダクター社
メモリ事業部
アドバンス・メモリ製品開発部
アドバンス・プロセス技術第二担当
小林 晃子さん(2005年入社)

梅澤 でもその分,休みは取りやすいですね。休日出勤したら必ず代休を取るように言われますし,24日間の有給休暇も切り捨てないように,会社からは休め休めと言われます。

――なぜ半導体技術者になったのですか。

梅澤 もう典型的な,国語が苦手で数学が好きっていうタイプでした。それと,私の親は女性でも手に職を持つべきという考えでした。ただ,薬剤師とか看護師とかそういうイメージだったようですが。私はそれよりもモノづくりが好きだったので,企業で働きたいという希望を持っていました。高専(高等専門学校)から大学の工学部に進み,当時DRAM景気ですごく勢いがあった,この会社に入りました。

小林 私も高専で電気系のコースを選び,大学,大学院と電気電子工学を専攻しました。大学生のころから半導体に興味があって,いつかはそういう仕事に就きたいと思っていたんです。

梅澤 私は化学系だったんですが,IT系というかソフトウエア関係の仕事に就く同級生も多かったですね。半導体の開発はクリーンルーム・ウエアなんか着るようなちょっと泥臭い感じで,あまりおしゃれじゃないですよね。かっこいいオフィス・ビルでもないし。でも,最先端のものを作っているんだ,ということに対する自負みたいなものはありますね。


小林さんが働く四日市工場。300mmウエハーに対応したNANDフラッシュ・メモリの新工場である第4製造棟(Fab4)は,2007年9月4日に竣工式が行われた。東芝は韓国Samsung Electronics Co., Ltd.に次いで,世界第2位のNANDフラッシュ・メモリ・メーカー。積極的な設備投資で,2008年には世界トップの座を狙う。(写真:東芝) (画像のクリックで拡大)

――これからの目標は。

小林 これまでずっとプロセスをやっていたのですが,この10月から念願のデバイスを担当することになりました。私はプロセスの良いところも悪いところも知ってますから,プロセスを知っているデバイス屋,と言われるようになりたいですね。

梅澤 今やっているプロセス移管を無事に終わらせることが当面の目標ですけど,大きな目標としては,この会社から外に出ても生きていけるようなキャリアを身に付けることです。あとは,TOEICで何点取るとかいう目先の目標もあります(笑)。

●配属予約制度
東芝には「配属予約制度」がある。入社前に自分の希望をあらかじめ伝えると,工場見学で仕事と職場の雰囲気を確認できる。その後,自分と配属希望先とで整合を取り,本社での選考を受け,合格すれば正式に配属されるという制度だ。就職活動中にはセンサの開発をやりたいと思っていた小林さんも,同制度で四日市の工場を見学して気が変わったという。「メモリの話を聞いて,メモリって今伸びているし,工場を見ると,ああ,すごいなーという感じで。じゃあ,メモリをやってみようかな」と,すっかり納得して入社,希望通りメモリ工場へ配属された。

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