趣旨
 近年,日本を取り巻く製造業の品質神話は崩れたといっても過言ではない。 実際,工業製品,コンピュータシステムなどで品質に起因する障害や事故の数が増大している。 このため,多くの企業が製品をはじめとする材料やデバイス,システムなどの「品質」に関して熱心に議論している。 このとき,研究開発や製造現場における直接的な取り組みだけに議論を限定すべきではない。 むしろ材料・製品をとりまくプロセスやシステム,更には企業経営も,品質に関わる課題として捉えることが重要だ。
 本連載では,製品・材料の品質の定義と評価・改善手法を端緒に,プロセスやシステムの品質,更には企業の社会的責任も含めた企業経営の品質について議論する。これによって,日本が品質神話を復権する上で,何を実践するべきなのかを明らかにしていきたい。
本コラムは,金沢工業大学 大学院工学研究科の知的創造システム専攻および高信頼ものづくり専攻の担当教員が執筆する。

知的創造システム専攻
社会人を対象としてビジネスおよび知的財産のプロフェッショナルを育成するために東京・虎ノ門に設置された文理融合型の1年生大学院。ビジネスの第一線で活躍中の教授陣による実践的な教科内容と,本学独自の教育システムにより,「ビジネスアーキテクトコース」,「知的財産プロフェッショナルコース」それぞれにおいて,1年間で修士号取得を可能にしている。

高信頼ものづくり専攻
社会人を対象に社会の求める「ものづくり」スペシャリストとして,特に「複合材料」,「デバイス」,「物理標準計測技術」,「知的ロボット」に関わるプロフェッショナルを養成するために東京・虎ノ門に設置された大学院。現場経験豊富な教授陣に加えて,金沢本校の「ものづくり研究所」との連携で実践的な研究が可能な環境を用意している。

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