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HOMEスキルアップマネジメント「天職? それとも転職か?」 > 空前の売り手市場,先の不透明な時代だから転職を

「天職? それとも転職か?」

空前の売り手市場,先の不透明な時代だから転職を

  • 小林 巡=Business Creation & Collaboration Network代表取締役
  • 2007/09/18 00:00
  • 1/1ページ

 「理想の職場とはどんなものだろうか?」

 Tech-On!の読者は,この質問にどのように答えるだろうか?残業が少ない職場,人間関係がぎくしゃくしていない職場,あるいは技術者なら,好きな研究に没頭させてくれる職場,研究設備が充実している職場など,それぞれに答えは違うと思う。

 筆者はこれまで,多くの技術者に触れ合ってきた。現在の職場に対して不満を多く持つ人,ほとんどない人,いろいろだった。そんな中で,理想の職場とは何かを改めて考えると,それは,働く人と職場(企業)が適度な緊張の中で,互いの成長が継続していける環境のことを指すのだと思う。

 しかし,たとえ入社時にはこのような環境が整備されていても,理想が持続することは稀であり,人間関係などでいろいろな悩みが出てくる。そんな中で何とか環境を改善しようと努力しても,個人で出来ることには限界がある。

 そんな時に考えるのが転職だ。転職の場合,考えてから実際に次の企業に勤めるまでスムーズにいく人は稀で,多くの人は転職すべきか,とどまるべきかで悩む。私が出会った多くの人は,結局企業に留まる方を選んだが,これは日本人の特徴だと考えられる。つまり日本人は(特に技術者は)極端に変化を嫌う傾向が強いのである。

 私は,転職をすることは,その人にとって大きな意味を持つと思っている。なぜなら,異文化を体験できるからだ。よく一括りに大手企業,製造業などと言うが,同一の企業文化を持つ企業は決してない。逆に言えば,いくら外から情報を得ようと,一つの企業で勤務するかぎりは,決して他企業の異文化を体験できない。そして,この異文化を体験することは,先の不透明な現代社会を生き抜く上で非常に重要となる。何が起こるか分からない中では,適切な状況を判断できる人が必須となる。転職によりこの判断力が,必ず養われるからだ。

 転職経験者は,慣れ親しんだ環境から離れて,新たな職場環境に身をおいた。即戦力者として期待されて採用されたのだから,期待に応えられる結果が出なかった場合のことを想像すれば,おそらく激しいストレスに襲われたことだろう。そして,このストレスに対する対応能力を向上させるとともに,的確な外部に対する状況判断能力を向上させたはずだ。これらの能力は高度成長期においてはあまり必要とされてなかったかもしれないが,これからを生きる上では必須と考えられる。

のどから手が出るほど望まれる即戦力

 このような理由から,筆者は転職賛成派なわけだが,特に技術者には今,転職を勧めたい。というのも,現在の技術者の採用環境は完全な売り手市場状態であるからだ。

 なぜ売り手市場なのか?一つの理由は環境問題などへの技術的対応が急務だからである。特に自動車産業では環境対応エンジンの開発,燃料電池開発などが,企業の死命を制すると言って過言でない。しかも企業が求めている技術者は,自社では非常に手薄な化学系技術者などであり,即戦力を求めるとなれば中途採用しかないのである。

 また,海外に目を転じると日本企業の海外工場立ち上げが急ピッチで進んでいる。ところが海外の工場の立ち上げ要員が極端に不足している。団塊世代が大量に退職するなどで,海外工場の立ち上げ経験者が少ないのである。私の身近でも海外経験があり定年退職した方に直ぐに声がかかり,現在海外で活躍中という話がある。

 このような状況なのだが,一方で求められる技術者側からしてみれば,どうであろうか。現在の勤務先でも,例えば環境対応の技術開発にとり組んでいれば,重要なポジションにあり仕事も忙しく,大事にされているはずである。現在の先行きが不透明な社会情勢の中で,あえて無理をしなければならない積極的な理由はない。こんな中,鉦や太鼓で探し回っても優秀な人ほど動かないのである。

 さらには,元来技術者は転職に非常に消極的で環境の変化を嫌う。転職しようかなと迷っている間に転職適齢期を過ごしてしまい,結局同じ会社で定年を迎えた人を多数知っている。

 しかし,それで本当に良かったのだろうか?そのままで確実に予測される今後の激動の時代を生き抜くことが出来るのだろうか?

 この疑問が私がこのコラムを書く重要な理由である。

 もちろん,無責任に転職を勧める気持ちもない。その人の性格も重要だし,また携わっている技術の状況にも左右される。次号からは,実際に私が転職を支援した技術者の方の実例を例に挙げて,実際に転職問題をどうしたら良いかを,読者の方と一緒に考えながら道案内をしたい。

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