思索の副作用
目次
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残念な現実
こんなニュースに目がとまった。NHKの新会長に前アサヒビール相談役の福地茂雄氏が就任、職員たちを前に挨拶したのだが、その冒頭に記者らによる株のインサイダー取引問題に触れ「コンプライアンスという当たり前のことから始めなければならないところに、NHKの残念な現実がある」と述べたらしい。
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バリエーション地獄
何だか考えに行き詰まってしまい、とりあえず気分転換にとコンビニに行ってみた。糖分でも補給すれば、しなびた脳もひととき元気を取り戻してくれるのではあるまいかと淡い期待を抱いたのである。それなら、ということで菓子コーナーに行くと真っ先に「チョコレート効果」(という文字が目に飛び込んできた。「効果」という…
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メディアは危うきに遊ぶ
三つまでしかメディアを使えなくなったら、何を一番に選びますか? そう聞かれた大学生が最も多く挙げたのは、ホームページ・ブログ(30.7%)だった。テレビ番組(30.2%)、携帯・PCメール(16.5%)、新聞記事(11.3%)がこれに続く。ちなみに雑誌・マンガは、6位でわずか2.0%。マンガを除けば…
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成果主義の弊害と弊害と弊害
「富めば嫉視され、貧しければ蔑視される。力があれば憎まれ、力がなければしいたげられる。君主への忠誠がかならずしも正義でないことを、他国の歴史がおしえている…そういう時代なのである」---。ある小説を読んでいて、この一節で目が止まった。「そういう時代」とは、中国の春秋戦国時代のこと。けれど、「君主」や…
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中国人が日本で買い漁っているもの
会場に入ると、見慣れない光景が広がっていた。入口付近に10人以上の男性が固まり、ものすごくデカい声で言い合っている。「何でぃ何でぃ、喧嘩かぃ」と腕をまくってみたが、みな興奮しているがバカ笑いしている人もいたりして、揉め事という風でもない。近寄って聞くと、音声は中国語のようである。
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ほんものの日本人
申しわけありません。いきなりお詫びというのもどうかと思うが、今回は本の宣伝なので、大変恐縮しているのである。申しわけありませんが、お慈悲をもって少々お付き合いください。で、タイトルは『ほんものの日本人』という。
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最も効果的なブランドの壊し方
思索は事件をキッカケに始まる。自分の書いたものを振り返ってみると、どうもそのようである。その事件とは、ミートホープに段ボール肉まん、白い恋人、比内地鶏…あれ、詐称事件ばかりではないか。そんな事件ばかり起きたヘンな年だったのかとも思うが、そんな事件にばかり反応する自分こそヘンなのではと思い直したりもす…
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モノがあふれているのに、ないもの
妻が、バスタオルが欲しいので探せという。そういうの得意でしょ、と。今使っているものがどれも随分くたびれてきたので、一気に入れ替えたいらしい。「どんなやつ?」と聞くと「あんなやつ」という。それは、内野という会社で作っている白い無地の、何の変哲もないタオル。
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比内地鶏と風姿花伝
比内地鶏とか名古屋コーチンとかコシヒカリとかアサリとか野菜とか、産地偽装に関する事件がやたらと目に付く。食品に限ったことではない。某百貨店がイタリア展で販売した家具は、実は中国製だったという。真偽のほどはわからないが、自身の感覚からして「さすがにこれはおかしくないか」と思うことがよくある。そもそも「…
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思考停止というリスク
日本企業の特質ということでよく挙げられることの一つに、「リスクをとらない」ということがある。現場、あるいは技術者個人のレベルでいえば、かなり革新的だが未知数的な仕事もあるように思う。けれど、往々にしてそのような案件は、いざ投資が必要な局面になると棚上げされてしまう。日本的組織というもののなせる業か、…
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【番外編】ケータイを洗濯してしまったら
日曜日の昼下がり、自宅の風呂場付近から妻の絶叫が聞こえてきた。さすがに青ざめた彼女が言うには、私の携帯電話機を洗濯してしまったのだという。どうやらそれがポケットに入っていたのに私も気づかず,妻も気付かず、ズボンを洗濯機に投入してしまったらしいのだ。途中で気付くはずもなく、洗濯、すすぎ、脱水のフルコー…
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「日本は引き算」だからできること
「日本のものづくりの本質は、引き算だと思うんですよ」。こんな説を、PEC産業教育センターの山崎昌彦氏にうかがった。同センターはトヨタ生産方式のカリスマ伝道師として知られる山田日登志氏が主宰する組織。ここで副所長を務められている山崎氏も、数多くの現場でカイゼンを指導してきた「ものづくり論のプロ」である…
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「アサヒる」の「民主主義」
先日、ネット系のニュース・サイトで、「アサヒる」という言葉がネット上で流行している、という話を知った。試しにGoogleで検索してみると、60万件超の検索件数があるではないか。なるほど、「流行している」というニュースは、まんざらデマでもないらしい。
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日本が誇るべき、別のもの
「本当に困ってるんです」。先日、あるアメリカ人ジャーナリストの方にお会いしたら、いきなりグチをこぼされた。何でも、アメリカの本社から「日本のゲームショウを取材せよ」との指示を受けたらしいのだが、彼女自身はゲームに興味はなく、何の知識もないのだという。「だいたい、日本のアニメとかゲームって、何なのよ?…
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何が技術を殺すのか
休日の昼間に家でごろごろしていたら、インターホンが鳴った。出ると「NHKのものです」という。ドアから覗いてみると老齢の上品そうな方が、汗をハンカチで拭きながら笑顔で立っておられた。もちろん訪問の目的はわかっている。「中断」している受信料の支払いを再開してほしいというのだろう。あまりに暑そうなのでドア…
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外国人が合羽橋で買っているもの
「いま、外国人の間で人気急上昇中の日本みやげって、何だか知ってる?」。知人にそう尋ねられて、ハタと考え込んでしまった。時計、カメラ、家電なんていうのはもう古い話だよな。ケータイは持って帰っても使えないし。渋谷の109で売っているファッション・グッズか、それとも秋葉原名物のフィギュアとかか?
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ムカつく上司とダメ社員
「朝青龍事件」の報道を見るたびに、何だか気が滅入ってくる。最近は大相撲を見ることも少なくなったので特定の力士に思い入れはない。むしろ朝青龍に関しては、以前から新聞や週刊誌などを賑わしていたので、それらを読んだだけで個人的には何となく好からぬ印象を抱いていたかも、と思う。それでも、現在の報道というか論…
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中小企業格差というタブー
世の中には、「気にしていなかったけど、よく考えてみたら何だかよくわからない」ということがよくある。日経エレクトロニクス誌の新米記者だったころ、編集部にある外国人ジャーナリストが出入りされていて、彼の口癖が「ところで、何かうれしいの?」というものだった。新製品の記者発表会があった後などに担当記者のそば…
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「白い恋人」事件と現場の声の信憑度
夏休みでネタ枯れの最中、石屋製菓が「白い恋人」の賞味期限を改ざんしていたことが発覚、メディアの一斉追求を受けることになった。火に油を注ぐ結果になったのは、またぞろ社長の対応だった。当初、「私は知らなかったが部下が…」と言い逃れを試み、悪役に仕立てられた人物が役員中唯一の非血族だったことから「政治家の…
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格差問題と官僚統制の、起源と効能
参議院選挙における自民党の敗因については、ほぼ店頭に並び尽くしたといったところか。年金、政治とカネ、大臣の暴言、安倍さん個人など、問題は実に多種多様だが、その一つとして「格差」、その代表として「所得格差」の問題が取り上げられていた。先日、知人ともこれについて話をしていたのだが、彼はこんな感想を漏らし…