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谷島宣之の「さよなら技術馬鹿」

ダイソン本人に聞く「how to do a Dyson」

  • 谷島宣之=日経コンピュータ副編集長、日経ビジネス編集委員、ビズテックプロジェクト担当
  • 2006/03/01 17:53
  • 1/1ページ

 「またダイソンですか。よっぽど気にいったのですね」と本欄担当の赤坂氏から言われてしまった。サイクロン式掃除機の発明者にして、掃除機メーカー英ダイソンの創業者であるジェームズ・ダイソン氏のことを書いた本原稿を、赤坂氏にまたしても提出したためである。気にいるとかいらないという話ではないが、ここ数年取材した中で、ダイソン氏がもっとも印象に残った人物の一人であることは間違いない。

 特に昨年末、Tech-On!読者向けに書いてもらった色紙は、筆者に衝撃を与えた。何の準備もせず、あれだけのメッセージを込めた色紙を書けるというのは大変なことと思う。筆者は色紙の原本を保存しており、仕事上で困ったこと、あるいは不愉快なことがあると、取り出して眺めるようにしている。最近、色紙を出す回数が増えているように思うが、それは気のせいであろう。

 昨年末、日経ビジネスの仕事でダイソン氏にインタビューした時、「ダイソンする」についてあれこれ聞いてきた。「ダイソンする(doing a Dyson)」は二通りの意味を持つ。一つは「掃除機をかける」である。まだ実際にそう使われてはいないようだが、ダイソン氏の夢は「ダイソンという単語が掃除機の通称になること」なのである。

 もう一つの「ダイソンする」は以前本欄で紹介した通り、「自分の発明をデザイン+設計+製造+売り出す(designing, engineering, manufacturing, and marketing one's own invention)」という意味である。この定義について、Tech-On!読者から質問や指摘があった。そこで本人に真意を質してきたので紹介したいと思う。

 ところで、前回気付かなかったが、今回、英語の原本『against the odds』にあたってみると、翻訳書『逆風野郎!』にあった「デザイン+設計+製造+売り出す」という表現はいささかニュアンスが違うように感じた。ダイソン氏の言うデザインには、日本で言う意匠(styling)だけではなく、設計という意味が包含されている。つまり日本語でいう「デザイン+設計」がdesigningなのである。

 では、engineeringをどう訳すか。これは難しい。考えてみると、エンジニアリングの日本語訳はない。技術者がする仕事のことであるから、やはり設計となるのであろうか。ダイソン氏は、デザインとエンジアリングをあまり区別していない。紙パックがない掃除機、ゴミがよくとれる掃除機、という製品コンセプトをデザインすること、それを実現するサイクロン技術を開発することは、彼の中で不可分になっている。ここまで書いて気付いたが、engineeringは「開発」と訳せばよいだろう。

 ついでにいうとmarketingには、売り出すという意味があるが、ここでは市場を創るとか、顧客に受け入れてもらう、という感じではないだろうか。後で触れるが、ダイソン氏はインタビューで「自分の製品を自分でセールスすることも大事」と言っていた。「ダイソンする」の定義の中に「selling」を付け加える必要があるかもしれない。

イラスト◎仲森智博
 ということで、「ダイソンする(doing a Dyson)」の定義および日本語訳を、筆者が勝手にやり直してみた。

「自分の発明をデザイン(設計)+開発+製造+市場開拓+販売する(designing, engineering, manufacturing, marketing and selling one's own invention)」

 さて、「ダイソンする(doing a Dyson)」を実践してきたダイソン氏であるが、自分自身の仕事をなんと表現するのであろうか。発明者兼創業者兼会長であるから、通常であれば、「ビジネスをしている」となる。しかし、ダイソン氏は「ビジネスという言葉は嫌い」と言ってはばからない。そこでインタビューの最初に、「ビジネスという言葉を使わないとすると、あなたの活動を何という言葉で表現するのですか」と聞いてみた。

 「僕は、人々が買ってくれるような新しい製品(プロダクト)と新しい技術(テクノロジー)を、デザインし、開発(エンジニアリング)している。というわけで、僕は製品のクリエーターであり、デザイナーである。これをビジネスとは思っていない。きちんと動いて、性能のいい、人々が家で使って楽しくなる製品を作り出す、そうしたクリエイティブな仕事をしている」

 「ビジネスとは、金儲けのことであり、クリエイティブではなく、人々を決して喜ばせない」。これがダイソン氏の主張である。唐突だが弊社の社名、日経BPの「B」は「ビジネスのB」である。したがってダイソン氏のビジネス嫌いについては異議を唱えたいところであるが、取材の時間の関係からそのことは言わなかった。

 それでは「マネジメント」という言葉はどうだろう。「マネジメントという言葉も嫌いですか」と聞いてみた。

 「マネジメントは人々に一緒に仕事をしてもらい、しかも同じ哲学を持ってもらうために必要だ。僕らの場合、その哲学とは、多くの人々に使ってもらえる、いい製品を作るということ。哲学を貫くためにマネジメントは必要だが、あくまでもマネジメントはデザインに奉仕するものだ」。

 いささか長くなったので、肝心の「ダイソンする(doing a Dyson)」についてのやりとりは、次回で紹介する。

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