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谷島宣之の「さよなら技術馬鹿」

理系と文系を分ける愚

  • 谷島宣之=日経コンピュータ副編集長・日経ビジネス編集委員・ビズテックプロジェクト担当
  • 2005/12/16 14:18
  • 1/1ページ

 「理系か文系かで人を区別するのは、日本の愚行の一つです。理系の学校に行こうと、文系の学校に行こうと、どちらにしても数年間のことに過ぎない。それで一生の進路を決めてしまうのはどう考えてもおかしいでしょう」

 今年、尾関雅則氏にお目にかかったとき、こんな話を聞いた。尾関氏は、JRの座席予約コンピューター・システム「MARS」の原型を作った人物である。情報システムは一人では作れない。正確に書けば、MARS開発プロジェクトのリーダーを務めた人物、となる。

 尾関氏の言う通り、理系あるいは文系の学校に行くのは4年から6年程度である。その後に続く長い長い社会人生活の間、ずっと「あの人は理系」「彼女は文系」という言い方をされる。

 企業の場合、技術屋あるいは事務屋といった呼び方がある。この区分けも在籍期間中、いや、退社した後でも付いて回る。そして技術屋が必ず社長になる企業があれば、逆に事務屋しか社長になれない企業がある。さらに凄い企業になると、社長になる人の出身大学出身学部がいつも同じであったりする。

イラスト◎仲森智博
 よく、理系と文系の人は違う、とか、両者の間には溝がある、と言われるが俗説であろう。例えば、このコラムのイラストを描いている仲森は、化学を勉強し、メーカーの研究所にいたはずだが、服装にしても読んでいる本にしても趣味にしても、まったく理系ではない。いや、そもそも「これが理系」というものはないのである。

 したがって理系の人と文系の人はコミュニケーションしにくい、ということもない。もしあるとすれば、企業に入ってから技術屋と事務屋をはっきり分け、しかも長期間そのままにしたことの悪影響に違いない。イノベーションを実現する企業とは、こうした区分けを止めたところになると思う。

 実は今回、まったく別なテーマを書こうと思っていた。そのテーマとは、システム障害である。情報システムの大きな障害が発生し、世間を騒がせている。数年前までコンピューター関連の記者をしていたから、何か書こうとした。ところが数行書いてみると、以前書いたような気分になった。少し考えて思い出した。ちょうど3年前の年末に、システム障害について長い長い原稿を書いていた。

 それは、かの有名な『ほぼ日刊イトイ新聞』に掲載した「社会の理系化が進行中?コンピューター専門記者に訊く」である。この記事は対談の形になっているが、実際は筆者が書いた。

 インターネットで検索してみると、すぐに見つかった。いつも思うが、インターネットは便利である。さて、3年ぶりに読み直してみると、自分自身がまったく進歩していないことに気付き、いささか憂鬱になった。今回のシステム障害について、筆者があえて何か言うとすれば「経営責任ばかり追及するな」「現場の技術者の苦労を知れ」などとなるが、3年前に似たことを書いている。

 いささか長いが、言いたいことをまとめてあるので、お時間と興味のある方は、イトイ新聞を読んでいただきたい。この対談のテーマが、「社会の理系化」というなんとも言えないものであった。理系とか文系というのはおかしい、と確信したので、本稿の前半部分を書いた次第である。それから本稿を公開当初、「言いたいことが書き尽くしているので、(中略)イトイ新聞を読んでいただきたい。」と書いたところ、読者から「『言いたいことが書き尽くしている』といって、3年過ごして本当に何も付け足すことがないとするなら、ちょっと悲しいですね」とご指摘を受けた。確かにそれではかなり悲しいので、新たに付加すべきことがあるかどうか考えたい。

 なお、イトイ新聞の対談の中で、携帯電話を使っていないことを自慢げに書いているが、この点についても変わりない。ただし3年経って、ますます公衆電話の数は減っており、業務上支障を来すことが増えた。来年は年貢の納め時かもしれない。

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