図◎「8AR-FTS」エンジン。水冷インタークーラーを備えた直噴ターボ
図◎「8AR-FTS」エンジン。水冷インタークーラーを備えた直噴ターボ
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 トヨタ自動車は2015年4月6日に部分改良した「オーリス」の最上級グレードに排気量1.2Lのターボエンジンを設定した。このエンジン、「8NR-FTS」と呼ぶ。果たしてその名の由来は。

 ベースになったのは、「1NR-FE」エンジンである。1.3Lの排気量を持つ同エンジンを1.2Lにするため、ボアを72.5mmから1.0mm小さい71.5mmに縮小した。さらにストロークも、80.5mmから74.5mmに縮めている。この結果、排気量は1196ccとなった。

 NRの部分はエンジンファミリーを意味するが、その前につく数字はエンジンの開発順である。従って、1NRが最初にでき、その後1.2Lの自然吸気エンジンである3NRなどが開発された。8NRは8番目に開発されたことになる。ちなみに、その前に、5NRや6NRもあるが、それらは中国など一部地域で使われている。

 NRやARといったエンジンファミリーの後に続くのが、FTSやFSEといった記号だ。一番最初のFは、燃費重視のハイメカツインカムを採用したエンジンで初めて使われた。かつてスポーツ系エンジンには「4A-G」や「3S-G」といったようにGが付いていたが、最近では「レクサスIS F」の「2UR-GSE」など一部を除いてほとんどのエンジンにFがついている。

 残るTはターボ過給、Sは直噴を意味する。こうした過給、直噴の有無によって末尾が変わる。例えば、1NR-FEであればターボも直噴もない、ポート噴射の自然吸気エンジンである。その派生仕様のアトキンソンサイクルを採用したエンジンは「1NR-FKE」と呼ぶ。

 開発にあたってはドイツVolkswagen社の「ゴルフ」が搭載する1.2Lターボエンジンを強く意識したとのこと。トヨタの8NRは最高出力が85kW、最大トルクが185N・mとゴルフのエンジンの最高出力77kW、最大トルク175N・m(いずれも日本仕様)を上回っている。

 今のところ、トヨタの直噴ターボエンジンは新しい8NR-FTSと、排気量2.0Lの「8AR-FTS」のみ。今後、FTSエンジンがどれくらい増えるのかが注目だ。