車両の安全対策や市場動向の影響で、NA(初代)からNB(第2世代)、そしてNC(第3世代)へと「ロードスター」のボディサイズは徐々に大型化してきた。しかし、ND(第4世代)では、初代の開発コンセプトにいま一度戻り、小型で軽量なクルマを目指した。
そのために、前輪と後輪のサスペンション、クロスメンバーを車体と同時に設計した。これは各部署の設計者が自分の担当領域を飛び越えて、他の領域の設計者とクルマ全体を造り上げるという「共創」の意識を重視した結果だ。
アンダーボディーでは、衝突時のエネルギーを車体に分散させるマルチロードパスを効果的に作るため、ストレートでシンプルな車体構造を採用した。さらにオープンカーであることを考慮して、軽量で剛性の高いバックボーンフレーム構造にこだわったという(図1)。
車体寸法の面では、NC(第3世代)と比べ、フロントのオーバーハングを45mm、リアのオーバーハングを45mm、それぞれ短縮した。また、全高で10mm短縮、さらにホイールベースを15mm短縮した。これについて担当主査の山本修弘氏は「乗員の着座位置から見て、前輪のホイールセンターを35mm、後輪のホイールセンターを50mm、それぞれ前方向に移動した結果だ」と説明した。
軽量化のため、NCではボンネットやリア・トランク・リッドに採用していたアルミ材料を、他の部位にも積極的に使っている。具体的には、フロントバンパーの補強材、リアバンパーの補強材、フロントフェンダー、そしてルーフの部分だ。
また、バネ下荷重の低減を狙い、前輪のハブも鋳鉄からアルミに変更した(図2)。高張力鋼板については、引張り強さが270MPaの軟鋼と440/390MPa級の割合を減らし、590MPa級の部材を増やした。この他、車体の下部と側面などに980MPa級と1180MPa級の部材を新たに採用している(図3)。