トヨタ自動車の新型ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」では、リアに、新開発のマルチリンク式(同社はダブルウィシュボーン式と呼ぶ)のサスペンションを採用し、かつボディーのねじり剛性を高めることで、乗り心地と操縦安定性を向上した(図1)。
ミニバンといえばかつてはファミリーカーとしての利用が主体。しかし、同社によれば、近年はVIP(Very Important Person)などの公用車として使うケースが増えてきているという。このため、新型アルファードや新型ヴェルファイアでは、高級車としての乗り心地と操縦安定性を実現するために、リアのサスペンションを、従来モデルのトーションビーム式からマルチリンク式に変更した。
トーションビーム式では、ゴムのブシュが左右に一つずつしかない。このため、これらを硬くすれば操縦安定性は高まるが乗り心地が悪化し、逆に軟らかくすると乗り心地は良くなるが操縦安定性が低くなるというトレードオフが発生する。このため、優れた乗り心地と操縦安定性を実現するには限界があった。
一方、マルチリンク式は、ロアアーム、アッパーアーム、トレーリングアームと多くのリンクで構成され、それぞれにゴムのブシュを持つ。このため、トーションビーム式に比べて、より適切なチューニングが可能になるという(図2)。