「フリードスパイク」、アルミ押し出し材を利用した軽量フロアボードを採用
ホンダは2010年7月8日に発表した「フリードスパイク」向けに、シートと荷室の段差をなくす専用の軽量フロアボードを開発し、車内で寝られる機能を実現した。高速道路の無料化や休日の割引によって、長距離を移動するユーザーが増え、それとともに車内でくつろぎたいというニーズも増えている。また、夜間に移動して朝から釣りや登山をする、写真を撮影するというようなユーザーも多く、こうした層に向けて車内で寝られる機能を開発した。
フロアボードは横から見るとL字型の板で裏表で反転可能。荷室を平らにするときは、フロアボードの先端を後席後ろの台座に載せ、ボードの平らな部分が上になるように配置する。一方、ボードを反転させて荷室の床にぴったりと付ければ、段差はあるものの荷室の高さを低くでき積載容量が増える。自転車などを載せるときに便利である。
苦労したのは軽量で丈夫なフロアボードを作ること。現在のフロアボードはアルミ押し出し材と樹脂を組み合わせて、左右2枚をそれぞれ4.7kg、2.7kgと軽くできた。一方、開発当初は木で試作しており、片側が10kgほどになっていた。それを樹脂化により軽量化したが、それでも6kg程度あったという。
軽量な構造を模索してたどり着いたのが、アルミ押し出し材を多用する現在の構造。ボードは、板の部分とスロープとなる部分の大きく分けて2部品で構成し、板の内部とスロープにアルミ押し出し材を用いた。4.7kgのボードを例に取ると、板の部分は上下がPP(ポリプロピレン)で、片側だけにTPO(熱可塑製エラストマ)をさらに張った。板の内部構造は4本の押し出し材の間に、PPビーズと呼ぶ発泡スチロールのような材料を配置。上下のPPシート(片側はTPOを上にセット)でこの構造物を挟んで加熱して成形し、上下を溶着している。TPOを片側に設けたのは、座席が畳まれた場合に、背もたれ裏側に配置したTPOと質感を合わせるためである。板とスロープはスロープに設けた溝に板をはめ込み、リベットで固定している。
フロアボードを底上げして使用する場合、後面衝突によって板が浮き上がり、後席の乗員に危害を与えないように構造を工夫した。板の内部のアルミ押し出し材上部にスリットを設けたのだ。スリットのすき間にはアルミの板が入っており、荷物などの荷重がかかった場合は、すき間に挟んだ板を圧縮する方向に力がかかるので、変形しない。
一方、衝突が起きると、スロープから板が押されて板に対して上向きの力(スリットが開く方向の力)が加わる。これによってアルミ押し出し材が折れ、ボード自体がくの字型に曲がることで乗員への加害を防ぐ。フロアボードは最大100kgの質量に耐えられるように設計した。
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