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 サイエンス・インカレを通して、さまざまなものを得ることができた。そのことを少しだけ紹介したい。

 まず「常に科学に謙虚であれ」ということ。私は、黄銅色に光る輝石という珍しい鉱物を対象として、その輝きの原因を研究していた。私はある考察に基づいて研究をスタートさせた。実験中に仮説と合わないデータがいくつか出てきたが、「自然科学におかしなデータはつきもの」という傲慢な気持ちから、それらを軽視していた。今思うと見当外れだったが、当時はせっかく勉強して考え出した仮説を諦めるのが怖かったのかもしれない。当然研究は行き詰まり、その後、担当教官に相談するまで研究は進まなかった。自然科学の分野においては自分の考えを研究対象に押し付けるのではなく、素直に観察し、語りかけてくるものを汲み取る謙虚な姿勢の大切さに気づいた。

 二つ目は「刺激とやる気」。サイエンス・インカレは異種格闘戦のようなもので、科学全般、さまざまな分野からの研究が集まる。会場での発表はどれも新鮮に感じ、独創的な考え方に驚いた。例えば「一番よくボールを飛ばす野球のバットを考える」や「黒鉛粉末‐菌体間の相互作用による微生物燃料電池の高出力化」など。身近な科学から普段あまり耳にしない研究まで、多種多様である。分野は違えども“同じ学年のライバル”たちがこれだけ集まるのはサイエンス・インカレだけだろう。インカレ終了と同時にさらに研究意欲が高まった。

 大会に出るのは億劫だなと思うときは誰にでもあると思う。しかし、それを乗り越えて参加したときに、自分だけのかけがえのない宝物を見つけることができる。是非、サイエンス・インカレに参加することをお勧めし