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 サイエンス・インカレ当日、僕は眠いはずだった。前夜は発表準備でほぼ一睡もできなかったのだから。「さっと発表して自分の出番じゃないところは寝ていよう」。そう思っていた。でも、会場で僕を待ち受けていたのは睡魔ではなく、興奮だった。

 豪華な壇上、僕のプレゼンが映し出される後ろの巨大なスクリーン、スポットライトが僕を照らし、先生方や企業の方を含め数百もの人が僕の方を向いている。この発表舞台が興奮剤となった。さらに全国から集まった学生。僕たちはすぐ仲良くなって今も交流しているのだが、あの時は「こいつらがライバルか」と気持ちがメラメラした。そして受賞アナウンスの前のドキドキ感、僕の名前が呼ばれた時…。居眠りする気になれないほどエキサイティングな2日間だった。

 興奮と同時に、この2日間はすごく楽しかったと、僕は周りに言っている。審査員や企業の方々と談笑したり、友達の発表を応援したり、皆で取材カメラの前で変なポーズ取ったり、ポスター発表会場で美男美女探してみたり(笑)。交流会で新しい友達作ってお台場観光もした。サイエンス・インカレが終わった時は、「やっと終わったー」ではなく、「もう終わりか」と寂しくさえ思えた。

 今振り返ると、自主研究をやり遂げこのサイエンス・インカレに参加したことによって、僕は大きく成長できたと思う。研究技術や知識の向上はもちろん、いろいろなところから来た人たちに自分の研究を伝え、相手の研究を理解し、互いに交流し、今後の研究の糧としていく。それこそサイエンスが発展していく姿なのではないかと思った。それを学部3年という段階で、サイエンス・インカレを通じて体験できた僕は、非常に幸運だったと心から思っている。それと同時に、さらに多くの学部生が同じようにこの素晴らしき経験をしていくことを願っている。