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 サイエンス・インカレのような意義深いイベントに、協力企業として参画できたことに感謝している。同時に、個人的には最大級の感動をいただいた。学生の皆さんから強烈なエネルギーをいただき、改めて「未来は明るい」と確信することができた。口頭発表とポスター発表のいずれも、参加した学生の皆さんの純粋な好奇心、さらに前に前に進もうとしている姿に満ちあふれていた。その一方で、インカレという言葉にふさわしく、真剣勝負、笑顔あり悔し涙あり、という光景にも出会った。

 このような盛り上がりに、審査委員の先生をはじめ、会場にいたすべての方が知らずしらずの間にひきこまれ、パワーの増殖連鎖とでも言わんばかりの熱気に包まれていたことを思い出す。若い力が触れ合うことで、そしてつながることで、さらに大きな力になる。やがて社会に飛び出す、みんなで明るい未来社会を創る、未来は明るい、明るくならないはずはない、と感じた。

 今でも思い出すのだが、「リングキャッチャー」という手品の原理を解明しようとしていた2人の学生さんはユニークだった。手品は手品、どこかに仕掛けがあるのだろう、という程度で多くの人が通り過ぎてしまう出会いを、単なる出会いにとどめずに、その原理まで突き止めようとしている。そして、実際に評価モデルを試行錯誤しながら作り、機器を用いて検証実験までやってしまう。人とサイエンスとの遭遇とでもいうべき素晴らしい光景だった。

 サイエンス・インカレは、いわゆる学会ではない。学生さんの瑞々しい感性がとらえた「どうして?」「こんなことができたらいいのに」などをサイエンスのレベルまで昇華してほしい─。そのような出会いや発見を、自信を持ってプレゼンテーションできる、そのような場がサイエンス・インカレである。

 私たちの目の前にあるスマートフォン、パソコン、ゲーム機…。さて、その次に現れるものは何か。それらの答えは、サイエンス・インカレに参加する皆さんの中にあると確信している。日常に見え隠れする新しい芽を見つけ、疑問を疑問のままにして終わらせない。たとえ周囲から無謀だと言われても、好奇心と挑戦心を持って飛び出してくる若い力を解放してもらいたい。

 その意味でも、学生の皆さんには「出る杭」になってほしいと考えている。サイエンス・インカレは、そのような仲間が全国から集まる。参加する学生の皆さんにとって、ここで出会う友達は大学や地域を越えた、かけがえのない財産になるだろう。サイエンス・インカレが、そのきっかけになることを期待している。

 東京エレクトロンは、夢と活力に満ちた若い力を応援している。「出る杭」は伸ばしたい。また、たくさんの「出る杭」に会えること、そして学生の皆さんと話ができることをこれからも楽しみにしている。