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「出る杭」になるために

 近年、日本人の内向き志向が指摘されているが、科学技術の分野では、国際的な視野を持って、世界で活躍できる人材が求められている。そこで、学生には、まずサイエンス・インカレに出場し国内で競い合い、次に世界に出てチャレンジをしてほしいと思っている。

 このような好循環を作るためには、「出る杭になる」という前向きな気持ちを正当に評価し、それを伸ばしていくことが重要だ。サイエンス・インカレでは審査において、発想・着想、課題設定などにおける創造性・独創性を重視しており、意欲ある学生が勝ち進めるようになっている。

 サイエンス・インカレは、大学の学部生が本格的な研究を始める前に、自由な発想に基づく自主研究を発表する場である。レベルの高い完成された研究や、「将来の研究の種を蒔く」ようなオリジナリティあふれる研究など、多様な研究を待っている。

 サイエンス・インカレをきっかけに始めた研究が、その後、世界が「あっ」と驚くような成果につながったり、サイエンス・インカレ参加者の中からノーベル賞受賞者が出たりする日が来るかもしれない。そのようなことを期待するとともに、理系学生に「いつかは出たい」と思ってもらえるような大会にしていきたい。

 サイエンス・インカレでは、文部科学大臣表彰をはじめ、協力企業賞など多数の賞を設けている。また、多分野にわたる学生、企業関係者、研究者などとの交流を深める機会にもなっている。

 第2回サイエンス・インカレは、2013年(平成25年)3月2日(土)~3日(日)に幕張メッセ国際会議場で開催する。エントリーはすでに締め切ってしまっているが、ぜひ会場に足を運んでいただき、サイエンス・インカレの「凄さ」を肌で感じてもらいたい。そして、学生の方には、第3回サイエンス・インカレには応募者として参加してもらいたい。未来を切り拓く「出る杭」を待っている。

科学技術人材の育成について

 文部科学省では、サイエンス・インカレの他にも、初等中等教育段階から各学校段階を通じて科学技術人材育成のためのさまざまな施策を実施している。先進的な理数系教育を実施する高等学校などを「スーパーサイエンスハイスクール」として指定し、学習指導要領によらないカリキュラムの開発・実践や科学技術人材の育成などを支援したり、科学好きの高校生が全国レベルで学校対抗・チーム制で筆記・実技競技の総合力を競う「科学の甲子園」などの取り組みを行ったりしている。

 2013年度(平成25年度)には、科学好きの中学生の裾野を広げ、全国レベルで切磋琢磨する場として「科学の甲子園ジュニア」を創設する。このような取り組みを通じて、科学技術を担う多様な人材を戦略的・体系的に育成していきたい。