全国の大学の学部生や高等専門学校生などが集まり、自然科学分野の自主研究の成果を発表し、競い合う場がある。2012年2月に第1回大会が開催された「サイエンス・インカレ」だ(第2回の開催概要は別掲を参照)。主催する文部科学省、企画を担う「優秀な理系学生の養成に関する事業」企画評価委員会、審査員、そして第1回大会に参加した学生からのメッセージをお届けする。
サイエンス・インカレ――自主研究の祭典、緊張と興奮の2日間
目次
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サイエンス・インカレに参加した、学生10人の“ぷち感想文”
参加者からのメッセージ
全国の大学の学部生や高等専門学校生などが集まり、自然科学分野の自主研究の成果を発表し、競い合う「サイエンス・インカレ」。その主催者である文部科学省、企画を担う「優秀な理系学生の養成に関する事業」企画評価委員会、審査員、そして2012年2月の第1回大会に参加した学生からのメッセージを、これまで14回…
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興味を持ってもらえたときは嬉しかった
参加者からのメッセージ
私は第1回サイエンス・インカレのポスター発表部門に「都市計画の変容プロセスに関する研究~東京都練馬区の都市計画決定を事例として~」というテーマで参加した。そのとき、私は学部2年だった。2年生は一般教養の授業も多い。普段の授業と並行して、先生や先輩にアドバイスをいただきながら研究を進めた。2年生だと…
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分野を越えた交流の重要性を認識
参加者からのメッセージ
私たちは循環器システム医科学研究室で心血管系の発生・分化・形態形成の制御に働くシグナル伝達機構の解明を目的とした実験と、そのヒト疾患における意義の検討をカリキュラム外で行っている。これまでに学会等で研究成果を発表することはあったが、同世代の学生だけが集う研究会もないかと探していたところ、サイエンス…
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自分自身への自信につながった
参加者からのメッセージ
サイエンス・インカレへの出場を通じて、多くのことを学んだ。研究期間中は、研究成果が出ずに、私(松尾)は共同研究者の高野さんと共に何度も行き詰まった。さまざまなアイデアを出して実験を繰り返したが、私たちのアイデアだけでは限界があるという結論に至り、先生方や先輩方からも協力いただきながら再び実験に挑ん…
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かけがえのない宝物を見つけた
参加者からのメッセージ
サイエンス・インカレを通して、さまざまなものを得ることができた。そのことを少しだけ紹介したい。まず「常に科学に謙虚であれ」ということ。私は、黄銅色に光る輝石という珍しい鉱物を対象として、その輝きの原因を研究していた。私はある考察に基づいて研究をスタートさせた。
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学外の研究者との議論が楽しい
参加者からのメッセージ
私は第1回サイエンス・インカレに、リアルタイム・コミュニケーションのためのサーバー・プログラムに関するテーマについて、チームで応募した。共同研究者とはかなり離れた場所に住んでいるため、週末や休みの間にチャットで話し合ったりしながら研究を進めた。
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他分野からの助言や質問に触れられる
参加者からのメッセージ
サイエンス・インカレの特徴は、審査員の多くが他分野の研究者であると共に、大部分の聴衆が一般の方々であることだと思う。大学で研究を進めていけば学会などでの発表機会は増えるが、分野外の方に自らの研究成果を発表できる場はほとんどなかった。このような状況の中で、文部科学省の主導のもと、サイエンス・インカレ…
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最高の学部1年を過ごせた
参加者からのメッセージ
私たちは、学部1年生でありながら研究室に出入りさせていただき、第1回サイエンス・インカレへ出場する機会をいただいた。本大会の出場にあたって、指導教授の望月修先生、先輩方や研究室の方々にたくさんの刺激を受け、本気で研究に取り組めたことに感謝している。
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サイエンス・インカレ、サイコー!!
参加者からのメッセージ
サイエンス・インカレ当日、僕は眠いはずだった。前夜は発表準備でほぼ一睡もできなかったのだから。「さっと発表して自分の出番じゃないところは寝ていよう」。そう思っていた。でも、会場で僕を待ち受けていたのは睡魔ではなく、興奮だった。
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出る杭は徹底的に伸ばしたい
協賛企業からのメッセージ
サイエンス・インカレのような意義深いイベントに、協力企業として参画できたことに感謝している。同時に、個人的には最大級の感動をいただいた。学生の皆さんから強烈なエネルギーをいただき、改めて「未来は明るい」と確信することができた。口頭発表とポスター発表のいずれも、参加した学生の皆さんの純粋な好奇心、さ…
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研究センスが磨かれ、光る場所
第1回サイエンス・インカレ審査員からのメッセージ
サイエンス・インカレの表彰式で、会場の多くの人が受賞者と喜びを共有した。感動で目頭が熱くなったのは私だけではないと思う。これまでに数多くの科学系シンポジウムや学会に参加したことがあるが、これほど熱気にあふれた研究発表会は初めてだった。多くの次世代の若者にこのサイエンス・インカレに参加していただきた…
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出る杭を伸ばすプラットフォーム
「優秀な理系学生の養成に関する事業」企画評価委員会委員からのメッセージ
私は7年前に、当時勤務していた朝日新聞社で、高校生向け科学技術コンテスト「ジャパン・サイエンス&エンジニアリング・チャレンジ~高校生科学技術チャレンジ~(JSEC)」の創設に携わり、その後も運営に参加してきた。科学技術立国のためには、若い科学者や技術者を伸ばしていく社会の雰囲気作りが大切であるとい…
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サイエンス・インカレへの期待
「優秀な理系学生の養成に関する事業」企画評価委員会委員からのメッセージ
何日も考えた問題を解いたときの喜びは大きい。まして、世界中で誰も考えたことがない問題ならば、その喜びはさらに大きい。風呂の中で浮力の原理を発見したアルキメデスが裸のまま飛び出した、というのも作り話ではないように思える。先生に習うだけの授業に比べて、主体的に学ぶ方がはるかに高い学習成果が得られる。
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サイエンス・インカレ、夢と希望
「優秀な理系学生の養成に関する事業」企画評価委員会委員からのメッセージ
文部科学省が主催する理系学生の科学の祭典「サイエンス・インカレ」。まだあまり馴染みのない名前である。しかし、数年後には大学生や高等専門学校生の憧れの登竜門となっているに違いない。私は幸いにも2011年度(2012年2月)に開かれた第1回大会から審査員の一人として参加させていただく機会に恵まれた。そ…
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「出る杭」を育てる
主催者からのメッセージ
先日、京都大学教授の山中伸弥氏がノーベル生理学・医学賞を受賞した。ノーベル賞を受賞した日本人としては19人目、生理学・医学賞としては実に25年ぶりの受賞となる。科学技術人材の育成に関する施策を担当している者として、大変喜ばしく思うと同時に次のノーベル賞受賞者を育てるべく心を新たにした。