高知高専のブース
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 高知工業高等専門学校は、スマートフォンや携帯情報端末とそのウェブ・ブラウザを利用した教育システムや、パソコン用の新しいインタフェースを披露した。前者の教育システムは、電子教科書の内容を編集して、自分用の学習ノートにすることができる。例えば、授業を聞いて理解した部分は削除することで、理解していない部分を学習しやすくする。また、抽出したキーワードに線を引いたり、色を付けたりして、キーワードを強調できる。後者のインタフェースは、キーボードやマウスを使わずに、パソコンを操作することを目指すもの。同校は、文字や絵が表示された複数のカードを並べ替えたり動かしたりすることで操作する、パソコン用の新しいインタフェースを研究している。今回は、カード型インタフェースとして「iPod touch」を利用した実証実験の様子を披露した。

会津工業高校のブース
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 福島県立会津工業高等学校は、使い勝手を改善した工具を展示した。いずれも、ロボットを製作する過程で「こんな工具があったら便利なのに」と思ったことから開発した工具である。今回は、ナットを保持できる機能が付いたペンチ、障害物で指が届かない場所のネジを締められる工具、様々な寸法のナットに対応した工具などである。このほか、改善を図った5世代目の自動手袋装着機を展示した。手を入れやすいように手袋をふくらませるためのエアの強さを最適化し、手袋が装置から外れてしまう問題を解決した(関連記事3)。

舞鶴高専のブース
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 舞鶴工業高等専門学校は、2相圧電駆動ファン、表面プラズモン共鳴吸収測定装置、LC共振型磁界センサについて、デモンストレーションを交えて展示した。2相圧電駆動ファンは、磁石の代わりに圧電セラミックスを駆動源として使うことで、磁界が機器に与える影響を抑えられるのが特徴。同校は4.8m/秒で回転できるファンを開発した。今後は、一般的なファンと同等の7m/秒を目指す。表面プラズモン共鳴吸収測定装置は、金属表面の誘電率を測定できる。高感度と測定の速さが特徴である。実際の測定値と理論値が一致した成果を発表した。LC共振型磁界センサは、導体の形状を推定できる。同校は、積層プリント配線板の内部導体パターンの非破壊検査に有効な技術として提案している。今回、実際の磁界分布の測定結果を発表した。

熊本高専のブース
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 熊本高等専門学校は、3次元コンピュータ・グラフィックス(3DCG)に関する二つのソフトウエアのデモを実施した。一つは、フラクタル・モデルの可視化に関する研究のデモ。同校は、点と線と面を利用した従来のモデリングとレンダリングでは複雑な模様や形を表現するのに限界があると感じ、モデリングとレンダリングを一体化する手法の開発を進めている。この一体化にフラクタルを利用した。複素関数を繰り返し計算することで複素空間上にフラクタル・モデルを表現し、少ないデータを入力するだけで複雑な図形を描き出す。もう一つは、3DCGフラクタル・エンジンの開発に関する研究のデモ。今回は、立方体のような基本図形を玩具のブロックのように積み重ねるだけで、複雑な図形を描画するデモを披露した。

松江高専のブース
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 松江工業高等専門学校は、「第11回レスキューロボットコンテスト」(2011年8月6~7日、神戸サンボーホール)に出場した救助ロボットと補助ロボットをそれぞれ展示した。同コンテストは、無線で操作するロボットで人形をいかに優しく速く救出するかを競う。同校は決勝に進出し、30チーム中8位を獲得した。救助ロボットは、操作性を高めるために、1本のアームで全ての動作を実現できるようにしたという。また、人形を優しく救出するために、人形を載せるベッドが地面に対して平行に動くようにした。なお、補助ロボットはがれき除去などの役割を果たすものである。

東京高専のブース
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 東京工業高等専門学校は、昨年に続き、振動流中のガス輸送に関する研究成果を発表した(関連記事4)。発表は二つあり、一つは有限長管路内の振動流による換気に関する研究、もう一つは間欠振動流による炭酸ガスの分散に関する研究である。管の長さや間欠の有無によって、換気やガス拡散の効果が変化することを説明していた。このような振動流の研究は、医療分野への応用が期待されている。例えば、気管挿管が不要な人工呼吸法の実現の第一歩となる可能性があるという。