学生の理工系離れが叫ばれる今日、実際に理工系に進学した『Tech-On!Campus』の読者は、ある意味で“勇気ある”選択をした学生だと言うことができるでしょう。では、なぜこのような選択に至ったのか。その理由や背景を探ってみました。

 まず、理工系への進学を考えた時期を聞いてみました(Q1)。すると、最も多かったのは中学生時代で、45%と半数近くを占めました。続いて高校生時代の33%、さらに小学生以前という回答も16%ありました。かなり早い時期から理工系への進学を決めていた読者が少なくないことが見て取れます。

Q1 あなたが理工系への進学を考えるようになった時期は、いつごろですか。
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 次に、理工系を選んだ理由をたずねたところ、「ものづくりが好きだったもしくは興味があったから」(61%)と「理工系の科目(数学や物理、化学など)が好きだった」(60%)という二つの選択肢が60%以上になり、第1グループになりました(Q2)。

Q2 あなたが理工系への進学を考えるようになった理由は何ですか。
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 これらに続き、「理工系の科目が得意だったから」(46%)と「将来、理工系の職業(メーカーや研究所の研究職)を目指していたから」(39%)が40%前後の第2グループ、第3グループは「理工系に進めば、将来人や社会の役に立てると思ったから」(26%)、「理工系の方が就職に有利だと考えたから」(26%)となりました。

 ここで特徴的なのは、第1、第2グループの選択肢がいずれも、自身の嗜好や得手という内的要因であることです。社会的な要請や選択分野の将来性といった外的要因は第3グループ以下であり、これを考慮して進路を選択した人はそれほど多くないようです。

 実際に読者の多くは、小中学生ころから算数(数学)や理科(科学)が好きで得意だったと答えています(Q3)。「とても好き」と「やや好き」の合計は94%。「とても得意」と「やや得意」の合計は85%。いずれも圧倒的多数であり、理工系の科目が好きで得意だったことが、進路の選択に大きく影響したように思われます。

Q3 あなたは小中学生だったころ算数(数学)や理科が好きもしくは得意でしたか。
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 また、Q1とQ2の回答傾向と合わせて考えると、「自身の好みや得意分野から、かなり早い時期に自分の進路を定め、社会や周囲の状況にはあまり惑わされずにそれを追求してきた」という人物像が浮かび上がります。このようなタイプの人だからこそ、学生の理工系離れが叫ばれるなかでも、それを苦にせずに理工系に進学できたのではないでしょうか。

注)本アンケートは、2011年10月27日~11月2日に実施した。『Tech-On!Campus』の読者の中で理工系に進学している大学生(短大生、高専4~5年生、大学院生を含む)を対象として、メールなどによってアンケート用WebサイトのURLを告知して回答を依頼、200の有効回答を得た。回答者のうち、男性が89%、大学4年生から大学院修士2年生が71%、工学系学生が70%を占めている。

アンケート回答者の属性
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