省エネ家電が売れる背景には,環境先進国として整備を進めている再生可能エネルギーの導入が,当初の予定よりも遅れていることがある。2010年には,国内に17基ある原子力発電所の運転延長を決定したほどだ。このほかに,契約内容や地域で異なるものの,電気料金が1kWで19ユーロ・セント(約21円)と高いことも省エネ家電の販売に影響しているようだ注2)

注2) 2010年12月10日時点の為替レート1ユーロ=110.83円で換算。以下同。

 白物家電のうち,食洗機は節水量がトップクラスのドイツSiemens-Elektrogeräte GmbHの「ecoStar」が人気である(右上の写真)。全洗浄工程が,わずか6.5Lの水で完了してしまう。15年前の製品では25Lを使用していた。消費電力は,EUの基準でAランクとなる1.07kWhを約10%下回る0.93kWhである。このほかにエネルギー効率Aランク,汚れ落ちAランク,乾燥Aランクを取得している。実際の売価は約700ユーロ(8万円弱)である。

 売れ筋の洗濯機は,ドイツMiele&Cie KGの「W5000 Ecocare」。縦型のドラム式で,洗濯容量は7kg。1回に55Lの水を使用する。水温60℃で洗濯をした場合の消費電力は0.8kWhである。

 通常の洗濯機は,給水してから洗濯機の内部で温度を上げる。これに対してW5000 Ecocareは温水給水機能を備えており,蛇口からの水を昇温することで温水を供給する。この機能で約43%の節電になるという。このほかに,洗濯物の重さや体積をセンサで感知し,水の使用量を最適化する機能が付いている。

 エネルギー効率Aランク,汚れ落ちAランク,脱水能力Bランクであり,第三者試験機関「Stiftung Warentest」の総合評価では,クラスで1位となっている注3)。約1000ユーロ(約11万円)で販売されている。

注3) ドイツでは,Stiftung Warentestの評価を,消費者がかなりの頻度で利用している。同機関は国からの補助金と評価結果の売り上げで運営される,中立の試験機関である。参考

欧州第一の市場に