PMPの中で人気なのが,韓国i-station Inc.の「Buddy」である(右上の写真)。中高生をターゲットに売り出し,1カ月で約8000台が売れた。PMPでは通常,パソコン経由で教育放送の動画をダウンロードするのに対して,Buddyは無線LAN経由でダウンロードできるのが特徴だ。価格は,32Gバイト品が42万9000ウォン(約3万円)である注1)

注1) 2010年12月10日時点の為替レート1ウォン=0.07円で換算。

 学習用端末市場に対してSamsung Electronics社は,GALAXY Sでしか利用できない無料の受験勉強用動画アプリケーション・ソフトウエアを同端末に搭載し,それが受験勉強の役に立つとして好評を得ている。PMP市場でシェア7割以上の韓国Cowon Systems, Inc.は,Android 2.2と5型の液晶ディスプレイを搭載し,無線LANと3Gデータ通信が使える端末を2011年1月に発売する予定である。このほかに,電子書籍端末や音楽プレーヤー,ナビゲーションなどのメーカーも学習用タブレット端末に目を付けており,韓国の新学期が始まる2011年3月に向けて新商品が目白押しになるだろう。

 学習用のPMPやスマートフォン,タブレット端末を実際に購入するのは,高校生の親である。就職が厳しくて名門大学に入れないとその後の人生が安定しない韓国だけに,「子供のためになる」「勉強に役立つ」という宣伝文句に親は弱いのかもしれない。

高級+省エネでヒット

 白物家電でヒットしたのが,通常よりも価格が7万~8万円ほど高い,Samsung Electronics社の高級冷蔵庫である。2010年3月の発売から同年6月までに1万台以上売れた。韓国は貧富の差がかなり開いており,価格が安い中国Haier Electronics Group Co., Ltd.の製品が売れる一方,高ければ高いほど売れる市場も存在する。

 韓国では集合住宅に住む割合が圧倒的に高く,4人家族で4LDK,バスルームは二つが基本と,間取りが広い。大きな家電を置く空間的な余裕があり,キッチンとリビング・ルームがつながっている構造なので,家電もインテリアの一部として認識されている。

図1 表面がきらきら光る高級冷蔵庫
著名デザイナーが設計した冷蔵庫は,水がきらきら光る様子をLEDで表現した「ジュエル・ライト」などを搭載する。(写真:Samsung Electronics社)
[画像のクリックで拡大表示]

 この高級冷蔵庫は,イタリアのジュエリー/時計デザイナーのMassimo Zucchi氏が設計した(図1)。以前にもデザイナーが設計したエアコンや冷蔵庫,キムチ冷蔵庫などがあったが,話題性だけで実際にはそれほど売れなかった。しかし,今回は「BVLGARI」や「OMEGA」などのブランドを手掛けてきた世界的に有名なデザイナーだったことに加えて,最新の省エネ機能を備えていたことが人気の秘訣となっている。