台湾HTC社(宏達)のAndroid端末「Desire」には,Twitter専用ソフトウエアとPlurk専用ソフトウエアがプリインストールされている。
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 台湾の人々は,よく知られているように日本の流行を好意的に受け入れている。経済力も高い。IMF(国際通貨基金)によると,あくまで購買力平価ベースながら,台湾は2010年に一人当たりGDPが過去最高の3万4743米ドルとなり,日本を抜く注1)

注1) 2010年における購買力平価ベースで見た日本の一人当たりGDPは,3万3838米ドル。なお,韓国は2万9791米ドル。

 このため,日本などと同様に2010年の台湾ではスマートフォンが大人気となっている。そんな中にあって日本とは全く異なるトレンドを見せたのが,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などのコミュニケーションを提供するWebサービスである。具体的には,「Twitter」と似たコミュニケーション・サービス「Plurk(ブー浪)」が台湾で急速に普及した(右上の写真)注2)

注2) 僕浪とは,流れの中でのつぶやきを意味する。Plurkの人気を象徴する事件も起きている。米Microsoft Corp.の中国法人は,Plurkそっくりの「Juku(聚酷)」を2009年 12月に開始。しかもそのソース・コードは同中国法人の外注先が盗用したものだった。Plurkの運営側は自社のブログでソース・コードを図示して抗議。Microsoft社の中国法人は非を認めて,Jukuを無期限停止した。

 台湾では,米国発の巨大SNSである「Facebook」が2010年に大流行した影響で,ほかのWebサービスが軒並みトラフィックを落とした注3)。これに対してPlurkは,Facebookと組み合わせて使う機能を搭載して人気を高めている。Webサイトのアクセス解析を手掛ける米Alexa Internet, Inc.によれば,コミュニケーションを提供するWebサイトの中で,Plurkは台湾で5番目に多いトラフィックを集めた(図1)。

注3) Twitterは,Facebookと組み合わせて使われる場合が多い。Twitterにおけるtweetを,Facebookのニュース・フィールドに出力できるからだ。Plurkも同じ機能を備えており, Facebookとのすみ分けができている。一方,これを明確にできていないとされるコミュニケーション系のWebサイトである「無名小站」「yam」は,Facebookにトラフィックを奪われている形だ。

図1 台湾ではTwitterの人気は高くない
台湾の人気サイトのトップ50の中からSNSやコミュニケーション関連と,ショッピング・サイトを抽出した。トップ50の中にTwitterはない。本記事で取り上げるもの を赤字で示した。台湾の人気サイトのトップはYahoo!である。(出典:http://www.alexa.com/topsites/countries/TW,2010年11月23日)
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Twitterの変化に学ぶ

 Twitterは,ユーザーが発見や意見を,知り合いあるいは不特定多数を対象に,気軽に伝えるツールである。Twitterが普及するにつれて,例えば「今××にいます」「××を食べています」といった,親しい人や好きな人が発していなければ“どうでもいい”内容が多くの割合を占めるようになった。この敷居の低下が,ユーザー数を爆発的に増やすという効果をもたらしている。