○絶対推薦
絶対に採用する、合格率99%の推薦のこと。この大学/学部/学科/研究室から今年は1名採用する、あるいは採用したいと言うターゲット学生が決まっていることが多く、選考は顔合わせの面接程度や、書類のみというところもあります。但し、推薦の総数に対する絶対推薦の割合は年々減少しており、産学協同や、研究テーマが直結など、継続的な信頼関係がない限り、推薦の依頼はありません。但し、選考中は他社への推薦応募はできず、内定した場合は必ず入社しなければなりません。

○優先推薦
他と同程度なら優先しましょう、と言うもので、合格率50%の推薦のこと。選考方法は、筆記、面接等通常通りですが、面接にはすすめる可能性が高いです。絶対推薦と同様に、選考中の他者への推薦応募、内定辞退はできません。

前述の「推薦で応募すれば受かる」は、推薦は全て絶対推薦だと思い込んでいます。「推薦は辞退できないから、他社はエントリーしてはいけない」は、自由応募ならエントリーできることを知らない、ということになります。

「何がやりたいかわからないと推薦を頼めない」は就職担当の先生が、志望度の高い学生を送りこむために「何がやりたいのか」と聞いたのです。「大学院生じゃないと、推薦がもらえないから、大学院に行く」は、大学院生から先に推薦、というルールは存在するようです。しかし、本来、大学院に行く目的は、高めたい極めたい研究があるから行く、ではないでしょうか。

学校推薦といえどもなめるべからず

では、学生はどう行動すればよいのでしょうか。

やってはいけないのは、「理系は推薦があるから大丈夫」と言う油断です。推薦が来るかどうか、はその年によって変動します。自分の行きたい企業の推薦が来ないな~と思って待っていたら、今年は募集がなかった、なんて事がありえるのです。過去、どんな推薦が来ているのか、は調べておきましょう。

さらに、「推薦で応募しているのだから落ちない」という考えも油断につながります。「推薦でも落ちる可能性は高い」くらいの危機感をもってください。学校推薦で2社落ちてびっくりしたご家族からの連絡で塾生になった学生がいるくらいです(研究内容の語りから、理想のエンジニア像まで理系面接をみっちり仕込んで、塾生になってから2週間で内定を取ることができましたが)。自分だけは大丈夫だろうという気の緩みが一番危険です。

準備をしっかりしてください。学校推薦で受けるのであっても、履歴書を書き、面接で語れるように研究概要を用意しておくことが最低限必要です。ここまであらかじめ用意しておけば、学校推薦で出すぞ、と言う時に速やかに対応することができます。

欲を言うならば、自由応募でも挑戦してください。面接慣れもしてほしいですが、それ以上に、交通機関や宿泊の予約、移動に慣れておいてほしいです。土地勘がないのは恐ろしいもので、学校推薦で初めて東京に受験に行く際、面接開始時間の30分前に羽田空港に着く飛行機で行って大遅刻をした学生もいるからです。今まで知らないことを知ることも、社会人になるために必要な経験です。

さあ、準備さえしておけば、学校推薦ほど合格の確率を上げてくれる武器はありません。学校推薦のない文系学生から見ればうらやましい限りです。学校推薦の制度を正しく理解して、戦略的に就職活動をしましょう。

(コラムで提示している学生の事例は、就職塾向日葵が指導したものであり、処方は、個人の状況などによって異なり、すべての人に当てはまるとは限りません)