学校推薦のメリットとして、研究部門にとっては基礎研究が出来ており、大学との連携が作れる、人事部門にとっては、学生の質が保証されている、辞退がない、などが挙げられます。

しかしながら、デメリットも存在します。それは、研究室の成績順に、1番の学生は業界1位の企業へ、2番の学生は2位の企業へとスライドされるということです。最近では、先生が「お前はここへ行け」という指差し絶対推薦は、学生の職業選択の自由や、企業のコンプライアンスの問題から少なくなってきていると聞きますが、それでも成績順によって推薦先を決める先生は多いと考えられます。よほどのことがない限り、1番の学生が、5位の企業に推薦されてくることはないのです。成績の優秀な順に、業界順位に従って学生がスライドするということは、業界内の順位は永遠にひっくり返せないということになります。

業界の2位以下の企業は、学校推薦を待っていたら優秀な人材が確保できない、となれば、自由応募でアプローチしようと考えます。アプローチしてみると、文系と同じタイミングで就活市場に出てきているフットワークのよい理系学生の方が、先生に言われて受けに来る学生より、志望動機がしっかりしている、と言う話まで出てきます。我さきにと、学校推薦の学内選考のタイミングの前に、内定を出すため一人の学生に、複数の企業が内定を出す重複内定が起こります。(今度は、辞退されないように拘束イベントをしなければ、辞退されたから追加募集をかけなければ、とバタバタすることにもなるのですが・・・)

自由応募で決まった学生は推薦を希望しないため、研究室に残っている未内定の学生を学校推薦で送ることになります。こうなると、新卒の採用人数全体も絞っていることもあり、「例年の付き合いで」、と闇雲に学生を採用するわけにいかなくなります。学生の質を確認するため、学校推薦であっても、筆記試験や面接試験を複数回にわたって課すようになったわけです。こうして学校推薦での合格率が低下していることが、理系の就職(内定)率を下げているのではないか、と考えます。

確かに、理系の学校推薦は、昔はほぼ100%内定でした。とにかく書類を出して、先生に言われたとおりの日時に企業に行って雑談をしてくれば受かる、そんな時代もありました。しかし、現在は、学校推薦であっても、

・通常応募と同じエントリーシートを書いて下さい
・卒業論文や現在の研究を2000文字でまとめて下さい

など、応募する段階で、企業は「選ぶ」気満々です。学校推薦で応募した場合の内定率は50%程度であると覚悟したほうがよいでしょう。

学校推薦の都市伝説