「ものづくり」がしたいから「製造」を希望した大学院生

「どうも面接がうまくいかなくて・・・」

と相談にやってきたEさんは、機械系の大学院生です。修了を控え、研究の合間をぬって就職活動をしているようです。ひょろっと背が高くて色白で、若さと言うか覇気と言うか、元気が無いように見えるのは悩んでいるからでしょうか。

どんな会社を受けたの?

「大手お菓子メーカーを受けたんですが・・・」

面接がうまくいかなかったと?上手く答えられなかったのはどんな質問?

「何がやりたいのか、とか、どんな仕事をしたいかとか」

で、なんて答えたの?

「ものづくりがしたいから、製造配属を希望しますって言ったんですけど

なんか、失笑された、っていうか、大学院生なのに製造かい?って

聞き返されて、わけわかんなくて頭が真っ白になっちゃって・・」

どうして製造を希望したの?

「え?ものづくりがしたいから・・じゃなくてですか?」

うん、大学院まで行って勉強したんだから、「研究職」を希望することだって出来たと思うし、お菓子メーカーの生産ラインを設計開発する「開発職」や「技術職」、現場に近いところで生産量を管理する「生産管理職」とか、いろいろある中で、なぜ「製造職」をやりたかったのかなって。技術・開発職として製造ラインに近いところで、改善をしていきたいというならわかるんだけど。

Eさんは目をキョロキョロさせ、明らかな動揺を示しています。まるで、聞いたことのない外国語で話しかけられて、何を言っているのか想像も出来ず困惑しているような表情です。

「あの・・・それってどういうことですか。その仕組みがよく分かりません」

あらら。会社に入ったこともない学生には、皆目見当もつかないかも知れませんね、と擁護するべきか、大学院生なんだから、このくらいの職業接続知識はもっていてもいいのでは、と自立させるべきか、悩ましいところです。

学歴と就職

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表は、公式発表されているデータを基に、高校、短大、大学、大学院の学歴別に、初任給、生涯賃金の統計データを整理し、相当する職能を付記したものです。

もちろん、このデータに当てはまらない方もいるかとは思いますが、統計データとして参考にしたいと考えます。

初任給を比較してみましょう。高卒と大卒の差は約4万円、大学院修了との差は6万円になります。学歴があがるほど、学校の学びも、積みあがって高くなっていると期待されるために、高校-短大-学士-修士の順で初任給が高くなるところがほとんどです。